2024年2月24日土曜日

爺さんの独り言

   テレビもそうだが、リスナーとのやりとりが濃厚なラジオには特に、ごく身近な怒りや憤懣を投稿して、パーソナリティー等が一緒にその「どこかの小悪人」を罵倒するようなコーナーが結構ある。
 そしてその「常識の欠けた」批判されるべき小悪人は、爺さん(ジジイ)であることが多い。
 そんな「常識の欠けたジジイ」とひとくくりにされそうな私は、「もっとほんとうの社会の悪に怒れよ!」と言いたいが、それは面白いよりも悲しすぎるのだろうか取り上げられない。
 そんな折、上野誠著『折口信夫(おりくちしのぶ)「まれびと」の発見』という本に、『おじいちゃんの力』という章を見つけた。要約するとこうである。

🔳 古典の言葉でいえば「おじいちゃん」は「翁」です。おじいちゃんは年を取っていて働きません。働かないけどものごとはよく知っている。・・なぜ能楽に翁が登場するのか。なぜ大鏡などの物語の語り手の多くが翁なのか。・・折口が考察の対象としたのは・・第一線の仕事から身を引いた老人です。このことが極めて重要なのです。なぜならば、働いていて第一線にある人々には見えないものがあるからです。・・枯れることによってしか得られない知恵もあるからなのです。・・私たちは、そういうお年寄りの知恵で救われることもあるのです。折口が、日本文学における翁の力について考えたのは、以上のような理由があるからでした。🔳

 ・・・「こんなジジイの遠吠えみたいなブログがあった」と、そういうラジオで面白おかしく馬鹿にされそうだが、明後日(遠くないあさって)にはみんな年寄りになるのだよ。

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