著名な憲法学者で神戸学院大学上脇 博之教授のFBの内容が参考になったので転載する。
私たちはいわゆる政局などに一喜一憂せず大道を歩むべきは当然だが、コロナ禍の下で顔を合わせて議論する機会も減り、なにか「コロナが落ち着いたら(それから)頑張ろう」的な、いわば「政局音痴」に沈んでいないかと自分自身反省させられた。
また内田樹先生が全国革新懇ニュースで「最悪の事態は想定したくない」という日本人の “呪術的信仰” を論じているのも、安倍政権の批判と同時に自分の胸に手を当てて妙に納得させられた。
内田先生曰く、『日本人には「最悪の事態に備える」という発想そのものが希薄です。
これは教育のせいなのか、民族の文化なのか、よくわかりません。
とにかく「最悪の事態を想定すると、最悪の事態を招き寄せる」という呪術的信仰が間違いなくあります。ですからうっかり「最悪の事態に備えて・・」と口にすると、「縁起でもない」と制される。場合によっては「それは敗北主義だ」「悲観論だ」と罵られさえする。
そして、実際に日本人は最悪の事態を想定すると一気に悲観論に落ち込んで、頭が働かなくなるようです。それよりは「すべてがうまくいったバラ色の未来」と想像して多幸感に浸っている方がましだということになる。
そして、危機的状況に際会して、腰を抜かす。それを繰り返してきました。この病的傾向はよほど「これではダメだ」と自覚しない限り治らないと思います』
以上の文は主に政治の劣化と新自由主義批判の文脈で語られているのだが、民主運動の内部にも、元気のよい言葉を多用して何か展望を開いたかのような気分になり、「最悪の事態の議論」を「確信を欠いている」と捨てている部分がないだろうか。
上脇先生のFBは「最悪の事態に備える」喫緊の重要性を語っておられる。心したい。
以下に上脇先生のFBを引用する。
前回は2017年10月でした。衆議院議員の任期は4年なので、来年2021年10月までには総選挙が行われることは確実です。
(2)安倍自民党総裁の任期は同年9月だし、任期中の明文改憲を目指しているので、それが一応本気であるとすれば、とりあえず総選挙は任期満了ではないと予想できます。
(3)来年は、6月または7月には東京都議会選挙が行われる予定なので(前回は2017年7月初め)、連立を組んでいる公明党に配慮して、この時期とその前後各3か月余りの期間は、総選挙はないでしょう。
(4)参議院は明文改憲に必要な「3分の2」を充足していないので、安倍首相は、衆議院総選挙で「3分の2」を超え、「これが民意」だと強弁して参議院での「3分の2」獲得工作を目指すしかないでしょう。
そのうえ、日本国憲法の改憲は国会だけでは実現できず、国民投票で過半数の賛成を得ないといけませんが、国民投票には国会の発議から最低でも60日の期間が必要ですし、発議前の国会審議の日数も確保しないといけないので、安倍内閣が改憲に向けて衆議院を解散するのは、来年では遅すぎます(総選挙で与党が圧勝し安倍総裁4選があれば別)。
それどころか、今年中でも、遅すぎるかもしれません。警戒した今年の通常国会冒頭解散も行われませんでした。
(5)もっとも、安倍総裁の任期中の「明文改憲の実現」ではなく、「国会発議」であれば、今年中の衆議院解散・総選挙であれば間に合うとの計算も「一応」成り立つかもしれません。
そうであれば、総選挙は「今秋」ではないかと予想するしかありません。
「GOTOトラベルキャンペーン」の実施は新型コロナ収束後のはずでしたが、それが前倒しされたのは総選挙対策なのでしょう。
(6)2年に1回開催される公明党の党大会は、前回が2018年年9月末であり、それが公式発表されたのは同年8月初めだったようですし、先月下旬に共同通信の配信記事では今年の党大会は「9月27日」で日程調整中と報じられました。
そうであれば、総選挙はその前ではなく、その後の10月中に総選挙になるのかもしれません。
今年の通常国会冒頭解散がなかったし、東京オリンピックが延期になったので、私は10月上旬までには総選挙が行われるかもしれないと予想しましたが、
公明党の党大会が早まらず9月の下旬だとなると、早くても10月下旬ということになりそうです。
(7)とはいえ、新型コロナは収束しそうにありません。また、豪雨の被害状況は甚大ですし、これからは台風の襲来もあります。安倍内閣は非情とはいえ、計算通り衆議院を解散総選挙に持ち込めるのか・・・。
(8)衆議院の解散を判断するのは安倍内閣ですから、私たち主権者は、とりあえず、今年10月の総選挙に備えるしかないでしょう。
(引用おわり)
大阪でいえば維新は11月1日にいわゆる都構想の住民投票を実施するといい、解散総選挙の場合は日程を合わせると公言している。
だとすると、例えばミニコミ紙を2号は出すとしたら、最低10月頭と8月になる。8月に出すなら十分な議論と実務を今すぐにでも早急にしておく必要がある。
そのミニコミ紙を通じての外の多角的な発信も計画を立てるに早すぎることはない。
「安倍晋三が国会から逃げまくっていてだらしない」などと評論家まがいのおしゃべりをしている間に安倍の取り巻きはウルトラCを検討していないか。
例えば「コロナを乗り切る消費税引き下げの是非を問う」的な解散と、中国の悪口で勝てると考えているかも。
あんな無責任で嘘つきの東京都知事が圧勝する世の現実を軽視してはならない。(これは言霊信仰ではないつもり)
正直なところ上脇先生の論を云々する知識は私にはない。
もしかしたら自民党内の権力争いと選挙の見通しがらみで安倍政権は解散もできずにレームダック(死に体)になるかもしれない。あるいは「禅譲劇」があるかもしれない。しかしそこに日程を合わせるのは「悪い正常性バイアス」だろう。
カール・マルクスの肩書を一つだけ述べよと言われれば、ジャーナリストと呼ぶのがよいとこの頃思っている。
安倍政権のマスコミと電通など広告に対する布石は恐ろしい程効いている。
対して、日本の民主運動もしんぶん赤旗を核としたジャーナリズムの側面が強い。
そしてその周辺に創造的で多層なジャーナリズム(批評等の活動)を展開することで運動の未来が広がると私は信じている。