2024年2月10日土曜日

早咲きの梅は満開

   梅の花というと、元号「令和」の典拠(いわゆる出典)の「万葉集」の梅花の歌三十二首の序文のことが思い出される。

 安倍政権周辺の自称右翼の皆さんが「平成までの247の元号すべてが中国の古典を典拠としていたが、初めて日本の古典から引用された」と小躍りされていたことを・・
 それだけに皆さんは万葉集は熟読されてきたであろうとは思うが、その序文は『天平二年正月十三日、萃于帥老之宅、申宴会也。于時、初春令月、気淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香』という漢文であったのは皮肉である。

 それはさておき、初春の令月にして気淑(よ)く風和(やわら)か 梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を被(ひら)き蘭は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かお)らす。
 「時あたかも新春の好き月(よきつき)、空気は美しく風はやわらかに、梅は鏡の前で白粉をつけた美人のように白く咲き、蘭(藤袴)は身に帯びた匂い袋のように薫っている」
 悪くはない美文である。
 ただし、蘭(藤袴、アララギ)は秋の七草。ここは藤袴の匂い袋のことだろう。
 
 なお、梅の花は、当時、中国から渡ってきたばかりで一般には珍しかった。現代のイメージで例えれば南米の初夏を染め上げるジャカランダ??
 中国から渡ってきたばかりの、今風に言えばバター臭い「梅」を見ながらの宴席の歌の漢文の序文である。
 それが悪いと言っているのではないが、「日本原産の古典だ」と小躍りされていたのは少し恥ずかしい。

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