2024年2月15日木曜日

逆櫓(さかろ)

   一昨日は大阪市福島区などの「福島」という地名の由来(とされているもの)について書いたが、その福島には「逆櫓の松跡」という場所がある。
 平家物語や浄瑠璃では、この地の松の下で義経と梶原景時が屋島への出陣前に論争をしたことになっている。逆櫓の論争である。

 内容はというと、景時は「この度の戦いでは船に逆櫓をつけたい」と主張。 義経は「逆櫓とは何か?」と問う。 「馬は駆け引きが自由だが、船はそうはいかない。そこで船を後ろへも自由に漕ぎ進められるように、櫓を船の前部にも取り付けたい」と景時が説明すると義経は嘲笑いながら「はじめから逃げる事を考えては良い結果は得られない。義経の船にはそのようなものは不要。あなたの船には付けるがよろしい」と言い放ったので、景時は「よき大将軍とは進退を見極め、身の安全を考えながら敵を滅ぼすもの。 前後もわきまえずに突進するのは猪武者と申す」と述べると、義経は「猪だは鹿だか知らないが、戦はただ攻めに攻めて勝った方がよい」と言い放った。

 結果は、義経は平家軍を敗走させ、遅れて到着した景時は、平家物語では義経に「六日の菖蒲」と嘲笑されている。

 しかし私は、この論争の限りでは景時を支持したい。例えば労働災害防止という課題であれば、義経のような「生産第一」のリーダーは危なくて仕方がない。「人はミスをするものだ」というのを前提に、それでも事故にならないように考えるべきだろう。

 今年の元日には能登半島で大地震があった。志賀原発のことは日を改めて書きたいが「あわや、危機一髪、フクシマの二の舞、大惨事」直前だった。
 そして実際、志賀原発に一大事が起こっていたならば、能登半島の半島という性格から住民の避難は絶望的だった。
 よく似た地形は愛媛県佐田岬半島の伊方原発にも言える。

 そこで原発ではないが大阪万博である。
 夢洲というこの人工島(埋立地)に、多い日には1日に20万人から30万人を集めると言っている。
 原発の避難ルートではないが、ここには橋が1本と地下鉄の地下トンネルが1本あるだけである。2018年の台風21号では大きなコンテナがころころと転がっていた場所である。
 結論をいえば、義経のスタンドプレイに似た夢洲万博は実施すべきでない。
 景時でなくても、少し冷静に考えればわかることではないか。

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