ネットから |
8月末になって蝉も見事に役者が代り、つくつく法師が主役になると、いくらテレビが熱中症の注意を呼びかけていても晩夏から初秋の空の青さを感じるようになる。
その鳴声をほとんどの書物はオーシイツクツクと書いているが、私は素直にツクツクボーシと聞いている。
鳴声についてのこの大きく二種類の表記のうち、どちらがより真実に近いかの論争は昔から今も賑やかだが、絶対的名解答にはお目にかかっていない。
それよりも、100%に近い書物が「最後にジーと尾を引くように鳴き終わる。」に近い書き方であるが、この地のつくつく法師は「ギューオウー」とでも書くしかないような、機械の軋んだ様な悪声で終わる。
法師蝉という有難い名前に似合わないこの「ギューオウー」という悪声の悪口を誰か(例えば清少納言)が書いていないかといろんな書物をひっくり返してみたが出てこなかった。
あまりにカスリもしないので、自分の耳が信じられなくなった。
しかし、確かに最後は軋んだ悪声で終わっている。
で、この下書きをここまでで中断中に、書物を横に置いてお手軽にネットを開けたらWikipediaに「ツクツクボーシツクツクボーシの鳴声の後にウイヨース!と鳴く」と書いてあった。拍子抜けとはこういうことだろう。ただウイヨースよりももっと悪声であるとの感覚は譲れない。
皆様方の地方のつくつく法師は何と言って鳴き止んでいますでしょうか?
朝日文庫の「四季の博物誌」によるとこの蝉は、ツクツクヨンス(宮城)、ツクシンボ(福島)、オーシンチョコチョコ(千葉)、スットコイーヨ(新潟)、オーヒッツク(長野)、ツクンヨーシ(和歌山)、トキシラズ(島根)、ツクツクボー(高知)、ズグッショ(天草)、ツクツクムシ(鹿児島)、オーシーツク(各地)とも呼ばれているらしい。
「ギューオウー」は悪声であるだけに夏休みの終了宣告にはとてもふさわしい。