自分自身のためにおさらいをしておくが、核兵器は2019年5月の統計で約1万4千発地球上に存在している。
【アメリカ(6185発)、ロシア(6500)、イギリス(215)、フランス(300)、中国(290)、インド(140)、パキスタン(150)、イスラエル(80)、北朝鮮(25)で13,890発】
広島、長崎の原子爆弾は、現代から見れば極めて旧式の小型のものだったが、4か月余りのうちに21万人の命をうばい、生き延びた人々も放射線障害などによって長年苦しんだ。被爆者が語る言語に絶する体験は、この兵器が他に例をみない非人道的な、大量破壊兵器であることをはっきりと示している。いかなる理由であれ、いかなる地においても、再び使われてはならない「悪魔の兵器」だ。
また、現存する核兵器のごく一部(100発程度)が都市で爆発しただけでも、舞い上がった粉塵によって、地球全体の気候に変動がおき、20億人が飢餓にひんすると、核戦争防止国際医師会議「核の飢饉2013年」は忠告している。
さて、アメリカのトランプ政権は、核兵器をより使い易くするための新たな「小型」核兵器の開発に踏み出し、1980年代の米ソ対立時代につくられたINF条約(中距離核戦略全廃条約)から一方的に離脱を表明した。
一方、ロシアも、アメリカの動きに対抗し、地域紛争での核兵器の先制使用や新型核兵器の開発をすすめているる。こうした下で、新たな核軍拡競争も高まっており、2021年に期限をむかえる米ロの戦略核兵器制限条約(新START)が延長されない可能性もある。またアジアでは、核兵器を持つインドとパキスタンの軍事緊張が高まっているす、北朝鮮も「核兵器投下も辞せず」のアナウンスを再び強調している。
なお、米ロ両国では約1800発の核弾頭を搭載したミサイルが「高度警戒態勢」にあるといわれていて、これは何か異変があればすぐにでも発射できる状態になっているということで、意図的な核攻撃だけでなく、人為的なミスなどで、核ミサイルを打ち合いかねない危険な状態にある。また、核兵器にかかわる重大事故は、世界各地でいくつもあったわけで、つまり、核兵器が偶発的に使われてしまう危険も常にあるのである。
このような核兵器を廃棄し、それを検証し、再び製造されないようにするには、国際的な枠組み=条約が必要になる。大量破壊兵器の禁止を取り決めた条約としては、化学兵器条約(1997年発効)、生物兵器条約(1975年発効)があるが、もっとも残虐で最大の被害をもたらす核兵器についてはこうした法=条約はなかった。
この状況を克服するためにつくられたのが、核兵器禁止条約(以下、TPNW)で、2017年7月に、国連加盟国の約3分の2にあたる122カ国が賛成して採択された。TPNWは、国際協定として歴史上はじめて、核兵器を明示的に違法化し、禁止するもので、これまでも様々な核兵器に関する条約があったが、核兵器を違法化したものはなかったわけで、ここにTPNWの歴史的な意義がある。
条約は、「核兵器使用の被害者(Hibakusha)および核実験の被害者の容認しがたい苦難と損害」に留意し、核兵器廃絶を訴え続けた「ヒバクシャ(Hibakusha)の取り組み」を評価した(前文)。このように、禁止条約は、被爆者を先頭とする反核運動がつくりあげた条約だと言える。
文字どおり私たちの運動が、「微力であっても無力ではない」ことが証明されている。
条約はすでにこの6月で38カ国が批准していて、50番目の国が批准してから90日後に発効することになっているので、あと12カ国だ。ただし日本政府は後ろ向きというところが問題だ。
よって今こそ2020年原水爆禁止国民平和大行進の出番だ・・といいたいところだが、新型コロナウイルス感染の広がりで規模等が大幅に縮小された。
ついては、「心は歩いています」という思いを込めて、できればOB会で広島にペナントを送りたいと思っている。
広島では8月4日に平和資料館または原爆ドームを全国からのペナントで包む行事が予定されている。
広く賛同の声をいただきたいと願っている。
炎天や心はヒロシマナガサキへ
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