2024年2月23日金曜日

左か右か

   もうすぐ雛祭りだが、それは古代中国の上巳の節句と日本古代の水辺における禊(みそぎ)や祓(はらえ)の思想にルーツを持つ。
 なので人形(ひとがた)に穢れを吸い取らせて川に流す作法が古式に近い。
 よく似たことは平城京の川辺(溝)でもされていたようで、木製の人形(ひとがた)などが出土しているが、多くは呪詛らしい文字が書かれていて、雛祭りとは少しイメージが遠く、おどろおどろしい。

 ところで、本日のテーマは雛人形飾りで男雛が右(向かって左)か左(向かって右)かというのがテーマで、昨今の雛飾りなどは右が多い。右が上位であるが・・・。
 なお、この話はジェンダー不平等や男尊女卑の問題とは次元の違うことであるので念のため。

 そもそも古代中国の漢の時代には、基本的に右が上位となり、漢語で右には「貴い」「大切な」などの意味が多くある。
 それが唐の時代には逆転して左上位となり、古代日本は唐の影響を強く受けたので、例えば、左大臣は右大臣よりも上席であり、文化面でも舞台の左(向かって右)が上手(かみて)となった。
 なので、ジェンダーの件は別にして、男雛は左(向かって右)が正しいと言えよう。

 それが何故、東京等で男雛が右(向かって左)の飾りが多いかといえば、これは脱亜入欧主義の明治政府が、明治7年から西洋式を採用し、天皇皇后のそういう写真が新聞に掲載されたからである。さらには昭和20年マッカーサーが雛人形の飾り方について西洋式にした上で女雛を右(向かって左:西洋式の上位)を指令したともいわれているが、これは歴史上は泡(あぶく)みたいなものだろう。
 日本文化の伝統でいえば左上位、明治からの西欧追随主義でいえば右上位だと思われる。

 世界中では宗教とも関わって左上位か右上位かは千差万別であるが、自国の歴史や伝統を一瞬にして打ち捨てて西欧に媚びたような日本での『右上位』には違和感がある。

2 件のコメント:

  1.  貴家の雛人形はどのようにお飾りでしょうか。

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  2.  いみじくも今日は天皇誕生日。明治7年の先例?に基づき天皇は右(向かって左)に立たれている。二言目には「わが国の伝統だ」とか言っている右翼の皆さんが「それはわが国の伝統ではない」と言われないのは不思議です。

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