2020年7月27日月曜日

久しぶりの完徹

   18日に「オーヘン」というタイトルで、孫に見る大阪弁の変化について書いた折、mykazekさんからコメントで『複数の日本語』という本を勧められた。
 工藤真由美、八亀裕美著『複数の日本語 方言からはじめる言語学』(講談社選書メチエ)だ。

 早速購入しようと近くの書店の在庫状況を確認したところ在庫がなかったので、AMAZONや楽天を探したが、定価1500円が2500円という中古本が1冊ヒットしただけで、その後多くの中古本通販も検索したがどこも欠品、在庫なしだった。
 そんなもので最終的には遠くない図書館で借り出した。そして図書館の戸棚の近くにあった小林隆著『方言が明かす日本語の歴史』(岩波書店)も一緒に借り読み始めた。
 
 この(複数の・・)本は「あとがき」によると、「美しい日本語、正しい文法」を裏切る「スティグマ※を負った日本語変種、多様な文法」の反国語的な活力を取り出してみようとしたものらしい。※は(イエスが磔刑となった際についた傷。 奴隷や犯罪者の徴、烙印、刻印)(一般と異なるとされる事から差別や偏見の対象として使われる属性、及びにそれに伴う負のイメージ
 当然豊富な事実を積み上げて、日本語が単一的ではなく、雑種的でもあり、常に変化してきたし今も変化していることを刺激的に提起してくれていた。

 そんなもので「眠れないからラジオ深夜便」ではなく、久々に完全徹夜で本を読んだ。それほど面白かった。2冊とも面白かった。完徹だけでは読み終えず、24時間ほど日本語ばかりを考えた。
 どこが面白かったかは皆さんが読んで味わってもらうとして、「ら抜き言葉」「れ足す言葉」も乱れなどではないのかもしれないと考え直すほど、目から鱗のオンパレードであった。

 若い頃東京で「メジロはウグイス色やってる」と言って先輩諸氏に嘲われたことを今でも覚えているが、私はこういうしゃべり方を今でもする。妻も「どこも変でない」と言う。?????
 「変化」でいえば孫を引き合いに出すまでもなく、娘が小さかった頃から、「上(うえ)らへん」とか「右(みぎ)らへん」と言うのを不愉快に聞いていたが、今では私は使わないがそう言われても許容できるようになっている。
 「方言が・・」の本も勝るとも劣らないくらいに面白かった。

 学問の世界も政治の世界も、およそ定説などと言われているものは疑ってみるものだ。

 【おまけ】 26日19時20分からNHKラジオ日曜名作座『妹背山女庭訓魂結び』の大阪弁が酷かった。西田敏行、竹下景子という名優を使っても大阪弁の指導がなってなければ興醒めだ。NHKはEテレやBSやラジオは頑張っていると思っていたのに残念だ。メディアは言葉(方言を含む)をもっと大事にしなければ・・・。

2 件のコメント:

  1. 喜んでいただいてよかったです!完全徹夜とはすごいですね。小林隆『方言が明かす日本語の歴史』も面白そうですね。尾上圭介『大阪ことば学』(岩波現代文庫)もわかりやすくてお勧めですよ。

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  2.  mykazekさんありがとうございます。尾上圭介『大阪ことば学』は創元社版第1版第1刷を持っています。表紙カバーは「じゃりんこチエ」です。

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