2020年7月26日日曜日

政局音痴

 著名な憲法学者で神戸学院大学上脇 博之教授のFBの内容が参考になったので転載する。
 私たちはいわゆる政局などに一喜一憂せず大道を歩むべきは当然だが、コロナ禍の下で顔を合わせて議論する機会も減り、なにか「コロナが落ち着いたら(それから)頑張ろう」的な、いわば「政局音痴」に沈んでいないかと自分自身反省させられた。


 また内田樹先生が全国革新懇ニュースで「最悪の事態は想定したくない」という日本人の “呪術的信仰” を論じているのも、安倍政権の批判と同時に自分の胸に手を当てて妙に納得させられた。

 内田先生曰く、『日本人には「最悪の事態に備える」という発想そのものが希薄です。
 これは教育のせいなのか、民族の文化なのか、よくわかりません。
 とにかく「最悪の事態を想定すると、最悪の事態を招き寄せる」という呪術的信仰が間違いなくあります。ですからうっかり「最悪の事態に備えて・・」と口にすると、「縁起でもない」と制される。場合によっては「それは敗北主義だ」「悲観論だ」と罵られさえする。
 そして、実際に日本人は最悪の事態を想定すると一気に悲観論に落ち込んで、頭が働かなくなるようです。それよりは「すべてがうまくいったバラ色の未来」と想像して多幸感に浸っている方がましだということになる。
 そして、危機的状況に際会して、腰を抜かす。それを繰り返してきました。この病的傾向はよほど「これではダメだ」と自覚しない限り治らないと思います

 以上の文は主に政治の劣化と新自由主義批判の文脈で語られているのだが、民主運動の内部にも、元気のよい言葉を多用して何か展望を開いたかのような気分になり、「最悪の事態の議論」を「確信を欠いている」と捨てている部分がないだろうか。
 上脇先生のFBは「最悪の事態に備える」喫緊の重要性を語っておられる。心したい。
 以下に上脇先生のFBを引用する。

(1)衆議院の総選挙はいつになるのでしょうか?
 前回は2017年10月でした。衆議院議員の任期は4年なので、来年2021年10月までには総選挙が行われることは確実です。
(2)安倍自民党総裁の任期は同年9月だし、任期中の明文改憲を目指しているので、それが一応本気であるとすれば、とりあえず総選挙は任期満了ではないと予想できます。
(3)来年は、6月または7月には東京都議会選挙が行われる予定なので(前回は2017年7月初め)、連立を組んでいる公明党に配慮して、この時期とその前後各3か月余りの期間は、総選挙はないでしょう。
(4)参議院は明文改憲に必要な「3分の2」を充足していないので、安倍首相は、衆議院総選挙で「3分の2」を超え、「これが民意」だと強弁して参議院での「3分の2」獲得工作を目指すしかないでしょう。
 そのうえ、日本国憲法の改憲は国会だけでは実現できず、国民投票で過半数の賛成を得ないといけませんが、国民投票には国会の発議から最低でも60日の期間が必要ですし、発議前の国会審議の日数も確保しないといけないので、安倍内閣が改憲に向けて衆議院を解散するのは、来年では遅すぎます(総選挙で与党が圧勝し安倍総裁4選があれば別)。
 それどころか、今年中でも、遅すぎるかもしれません。警戒した今年の通常国会冒頭解散も行われませんでした。
(5)もっとも、安倍総裁の任期中の「明文改憲の実現」ではなく、「国会発議」であれば、今年中の衆議院解散・総選挙であれば間に合うとの計算も「一応」成り立つかもしれません。
 そうであれば、総選挙は「今秋」ではないかと予想するしかありません。
 「GOTOトラベルキャンペーン」の実施は新型コロナ収束後のはずでしたが、それが前倒しされたのは総選挙対策なのでしょう。
(6)2年に1回開催される公明党の党大会は、前回が2018年年9月末であり、それが公式発表されたのは同年8月初めだったようですし、先月下旬に共同通信の配信記事では今年の党大会は「9月27日」で日程調整中と報じられました。
 そうであれば、総選挙はその前ではなく、その後の10月中に総選挙になるのかもしれません。
 今年の通常国会冒頭解散がなかったし、東京オリンピックが延期になったので、私は10月上旬までには総選挙が行われるかもしれないと予想しましたが、
 公明党の党大会が早まらず9月の下旬だとなると、早くても10月下旬ということになりそうです。
(7)とはいえ、新型コロナは収束しそうにありません。また、豪雨の被害状況は甚大ですし、これからは台風の襲来もあります。安倍内閣は非情とはいえ、計算通り衆議院を解散総選挙に持ち込めるのか・・・。
(8)衆議院の解散を判断するのは安倍内閣ですから、私たち主権者は、とりあえず、今年10月の総選挙に備えるしかないでしょう。
(引用おわり)

 大阪でいえば維新は11月1日にいわゆる都構想の住民投票を実施するといい、解散総選挙の場合は日程を合わせると公言している。
 だとすると、例えばミニコミ紙を2号は出すとしたら、最低10月頭と8月になる。8月に出すなら十分な議論と実務を今すぐにでも早急にしておく必要がある。
 そのミニコミ紙を通じての外の多角的な発信も計画を立てるに早すぎることはない。

 「安倍晋三が国会から逃げまくっていてだらしない」などと評論家まがいのおしゃべりをしている間に安倍の取り巻きはウルトラCを検討していないか。
 例えば「コロナを乗り切る消費税引き下げの是非を問う」的な解散と、中国の悪口で勝てると考えているかも。
 あんな無責任で嘘つきの東京都知事が圧勝する世の現実を軽視してはならない。(これは言霊信仰ではないつもり)

 正直なところ上脇先生の論を云々する知識は私にはない。
 もしかしたら自民党内の権力争いと選挙の見通しがらみで安倍政権は解散もできずにレームダック(死に体)になるかもしれない。あるいは「禅譲劇」があるかもしれない。しかしそこに日程を合わせるのは「悪い正常性バイアス」だろう。 
 
 カール・マルクスの肩書を一つだけ述べよと言われれば、ジャーナリストと呼ぶのがよいとこの頃思っている。
 安倍政権のマスコミと電通など広告に対する布石は恐ろしい程効いている。
 対して、日本の民主運動もしんぶん赤旗を核としたジャーナリズムの側面が強い。
 そしてその周辺に創造的で多層なジャーナリズム(批評等の活動)を展開することで運動の未来が広がると私は信じている。

5 件のコメント:

  1. 私も上脇先生のFacebook記事を読んで納得。しかも松井大阪市長が都構想の住民投票を11月1日に、総選挙が実施される場合はその日に合わせて行うと明言したので確信しました。
    大阪においてもコロナ感染者が増加傾向にある中、都構想にうつつを抜かしている場合ではないでしょう。相変わらずPCR検査はたらい回しされているし、昨日も60代男性が入院待機中死亡しています。何としても医療崩壊を防ぐ対策を緊急に講じてほしいものです。
    特別給付金10万円はいつ支払われるのやらーー。

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  2.  自粛警察みたいな一部の「世論」を如何思われますか。都知事は警察官を動員して新宿あたりの店を脅して回っています。田舎では「感染者の情報を洗いざらい丸裸にせよ」的な「声」も伝えられています。安倍周辺が「コロナの拡大は言うことを聞かない馬鹿者のの所為だ」「強制的に取り締まれない憲法の所為だ」「国民の命を守るために改憲による緊急事態法が必要だ」「それができるのは安倍政権だけだ」と打って出ることも考えられないでしょうか。コロナの収束前に世論が誘導されないかと心配です。

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  3. 安倍政権も都知事も感染者の増加に何も手を打たず、国民・都民にいろいろ自粛を要請するのみで、感染したのは感染者が悪いという気分を国民全体に醸成させ、自分たちの無策をすり替え、だから緊急事態法が必要と安倍政権最後の改憲チャンスととらえ---。考えられなくもないですね。恐ーいです。心配です。

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  4. 安倍総理や安倍友の維新にへつらって、まともに物を言わないテレビ局が吉村知事を無批判に出演させヒーロー視し、大衆の人気を高めるために狂奔しています。この欺瞞に多くの人々が目を覚ましてほしいものです。コロナの経済政策でピンハネをしているこの政権をマスコミはもっと批判するべきなのに忖度ばかりしている姿は醜いものです。権謀術数の巧みな安倍はナチスと同じ手法を使って情報操作しているのは明らかです。多分、電通などがその知恵袋なのではないでしょうか。一部の不心得者を罰するとして、憲法改悪すべきとの世論誘導をしているのは明らかですね。それに反対する者は国賊だというふうに持っていこうしていますね。自分たちの利権、「税金の私物化のモリカケ、桜、自分たちの違法行為をもみ消すための検察庁法案」などを覆い隠しての解散を虎視眈々と狙っているのは間違いないですね。自民の減った分は維新で補填しようとしているし、うまくいけば、自民の減った分以上に維新が議席を増やせば、前原グループなどが憲法改悪のために政界再編に動く可能性があるのではないでしょうか。これらを阻止するためには、早く野党共闘をすすめる必要があるのではないでしょうか。

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  5.  ケンタさん、弁英さん、的確な分析に敬意を表します。本文にも書きましたが評論している場合ではないですね。お知恵をお貸しください。

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