少なくない日本人(つまり私のことだが)は、幕ノ内土俵入りで「金峰山、カザフスタン出身木瀬部屋」と聞くと、草原の国でのモンゴル相撲やレスリングが思い浮かび、一言で言うとシルクロードの辺境の地 が最初に思い浮かぶ。余談だが、木瀬部屋のちゃんこは金峰山のことを思ってハラールであるらしいがこれは余談。
さて、白石あづさ著『中央アジア紀行』のことは以前に書いたことがあるが、その中に要旨次のような件(くだり)があった。「両替したお金を手に空港内のカフェでお札(さつ)を出したら『電子マネーじゃなくて現金⁉ おつりなんてないわ』と店員さんがうろたえるし、後ろに並んでいた人には『うちの国の紙幣を見たの数年ぶりよ!』と懐かしがられた。・・日本よりずっと後進国だと思い込んでいた私は背中に冷や汗をかいた・・と。
これとよく似た記述が近藤大介著『ほんとうの中国』に要旨次のとおりあった。
中国では、過去に遅れていたからこそ、いきなり最新の技術を投入できたという「リープフロッグ」(蛙飛び)現象も次々に起こっている。固定電話が普及する前にスマートフォンが普及したり、クレジットカードが普及する前にスマホ決済が普及したりといったことだ。
産業などでの「日本の劣化」はいろいろあるが、私(近藤氏)はそれを密かに「日本の中国化」と呼んでいる。10年以上前に北京で暮らしている頃に見た風景が、・・具体的には道路の陥没、度重なる列車の遅延、オレオレ詐欺の横行、銀行などのサービスの低下、すぐに会社を辞めたり挨拶をしない若者の増加・・といった現象だ。
中国人の団体旅行の「しおり」には「20世紀を懐かしむ旅を日本でどうぞお楽しみください」とあるとか。
「日本旅行のために小銭を入れる財布を買おうと思ったがもう中国では売っていなかった。今日も日本のコンビニで小銭を渡してお釣りを受け取るという行為が懐かしかった。手を挙げてタクシーを拾うのも久々の経験だった」とも。
呑み友に韓国通の先輩がいるが、現代韓国人の感覚も同様らしい。
そこには、大規模な戦乱がいくつもあったことで古い景観が少なくなったこともあるようだが、要するに、日本旅行で電気製品を爆買いしたり、高層ビル(たとえば「ハルカス」)に登って喜ぶ時代は遥かに過去のことになって、昔の中国や韓国にあった「古き良き生活風景」を再発見して感動しているのだ。
ついては、セルフレジ、キャッシュレスオンリーに「取り残された感」をお持ちの日本人の皆さん。恐れる必要はない。
その手作りの日本こそが、次代の観光日本の目玉になる。
それもいいじゃないか。 どう?






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