6月14日に『伝統という言葉』を書いたが、昨今の皇室典範をめぐるニュースを見ていると、いわゆる男系男子などという時代錯誤が大手を振っているようなので、6月14日の続きを書くことにする。
6月13日早朝の『ラジオ深夜便』で大阪天満宮文化研究所所長のインタビューが再放送されていて、天神祭りの話などを楽しく聴いたが、その中に、「無実の罪で追われ恨みを抱える天神様(菅原道真)に同行する神輿には、天神様が荒ぶった際におさえるために天台座主「法性坊(ほうしょうぼう)尊意」を乗せていた」というのがあった。
法性坊尊意は道真の仏教学の師であり、大旱魃に雨を降らせたり、平将門の乱の折には将門を調伏した実力者であった。大天狗とも言われていた。
「伝統」という言葉を使うならこれが元々の「伝統」なのだが、しかし明治の神仏分離によって変更(法性坊尊意は退場)せざるを得なくなり、結局、日本書紀に登場する相撲の神「野見宿禰(のみのすくね)」に交代。さらには神輿を増やして、日本神話の力持ちの神「手力雄命(たぢからおのみこと)」も加わって現在に至っている。
普通には庶民はそれを949年頃からの伝統のように思っているが、真実は明治の神仏分離令以降のスタイルなのである。
私の言いたいことは、伝統行事は古代や中世に帰るべきだというようなものではなく、変化するのは悪くはないが、それを中世以来の「伝統」だなどと嘘を言うな!ということである。
『虎に翼』の台詞つまり戦前の民法は「既婚の女子は無能力者」であった。
そんな思想を伝統だなどと言って、現皇后にも「男子を産め」と攻め立ててきたのではないかと想像するが、たかが明治以降のしきたりを「伝統」という言葉で思考停止させるような皇室典範改正には良識ある現代人はNOを言うべきだろう。

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