2020年7月7日火曜日

超過死亡者数について

 日本のコロナの感染者数が信用ならず、実態よりも少なく報じられているということは内外の常識である。
 近頃は「クラスターつぶしという日本モデルで対応したので仕方がない」という論調が出ているが、安倍官邸の習近平訪日実現や官邸プラス東京都政のオリンピック中止阻止という政治の思惑からPCR検査抑制を行った結果であることは明々白々だ。
 傍証みたいな話だが、これはNHKでも取り上げられたことだが、コロナの当初テレビによく登場していた大谷義夫医師が「コロナ対策のためにはPCR検査を幅広く実施して市中感染の状況を把握することが大切だ」と発言したところ「大谷は反日だ」「中国の回し者だ」というような攻撃が直接間接に「仕掛けられ」、先生はその後テレビ出演を辞退されているそうだ。こういうことを含めトータルな「安倍政治」は酷いものである。

 ではコロナの死亡者数はどうか。
 常識的に言って「基の検査をしていないのだからこれも同様の怪しさ」がある。
 発表された人口動態調査では、昨年まではほゞ同じような死亡者数であったものが、今年の4月の数字では統計的に異常な数値を示している。
 あえて言えば、今年はインフルエンザの大流行もなく、自殺者数も少ないというから、普通に考えれば例年の4月よりも死亡者数は若干少なくならなければならない。
 にもかかわらず、例えば東京都の場合、4月の死者数は1万107人。過去4年間の平均死者数は9052人で、超過死亡は1056人。11.7%も増えている。都発表の4月のコロナによる死者数は104人に過ぎない。1056人は確実におかしい。

 医療ガバナンス研究所理事長・上昌広氏は、「感染症は、超過死亡をベースに検証するというのが、世界の医学界のコンセンサスです。日本の場合は、超過死亡ではなく、コロナと診断された死亡者の少なさを強調し、『PCR検査を抑えて成功した』『日本モデル』などと語られ、突っ込んだ検証、反省が行われていません。第2波、第3波でしっぺ返しを食らうことになるでしょう」(日刊ゲンダイDIGITAL)と述べている。
 早い話が他の病名で処理されたコロナウイルスによる死亡者がかなり隠されている。
 その周囲に、コロナ騒動で適切な医療が受けられずに死亡した人が相当いたと考えるのが常識的な結論だ。

   では、それは東京都だけの問題だろうか。
 超過死亡を人口10万人あたりに換算してみると、実は東京都よりも大阪府の方が怪しいことを数字は示した。

 思い起こすと日本医師会がPCR検査を拒否された件数で大阪府がワースト1と発表したことがあったが、表の数字はそのことを如実に証明しているように見える。
 この表は、4月の死亡者数と、6月14日時点のコロナの累計死亡者数であるから、4月の実態はこれ以上にひどいはずである。
 超過死亡、要するに4月のおかしな死亡者数が大阪府の人口10万人当たり9.70人で、東京都の7.57人を上回っている。
 千葉、埼玉のことは知らないが、在阪テレビ局が大阪府とりわけ吉村知事を目に余るほど持ち上げているが、「実はおかしくないか」と分析するのがジャーナリズムではないのか。

 大阪モデルだとか日本モデルという言葉には何か詐欺商法みたいな臭いがする。

   幼児がすっぱいすももが好きという

3 件のコメント:

  1.  医療ガバナンス研究所理事長・上昌広氏の意見が科学的根拠のある正しいものだと思います。大阪のテレビ局は科学的根拠のある正しい目をもってほしいですね。権力者に迎合した姿は醜いものです。吉村知事の宣伝は狡猾ですね。嘘と誤魔化しをして、大衆を洗脳していくのですね。それに乗っているテレビ局は共同正犯ですね。テレビ局などのマスコミはジャーナリストとしての正しい目をもって、批判してほしいものです。

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  2. 長谷やんさんの分析、いつものことながら説得力ありますね。弁英さんのご意見も同感です。マスコミの劣化には本当に腹立たしく怒りを覚えます。

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  3.  弁英さん、ケンタさん、コメントありがとうございます。
     私は近頃、山中伸弥教授のおっしゃる「ファクターX」が気になっています。
     教授は「日本と欧米」の比較で語られる部分がありますが、数値上明らかなことは「基本はアジア大洋州対欧米」だと思います。その上に各国の事情が加味されて検討されるべきでしょう。
     遺伝子だとか軽度の最初期に流行(罹患)していたとかBCGの副次的な効果だとかいろんな仮説がありますが良質の医学的見解を待ちたいと思います。
     そのためにも「おかしいことはおかしい」とも大いに語っていく必要があるように思っています。

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