2021年9月30日木曜日

525,600分

   心房細動の発作が度々起こっている。毎年の人間ドックでは正常だったのに・・。

   だとすると人間ドックの検査が杜撰だったのか・・と、少し腹立たしくドクターに尋ねると、・・心房細動を発症していない時に計っても当然見つからない。心電図の測定は10秒~20秒行うが、仮にそれを60秒=1分としても、1年に1回のドックだと、60分(1時間)×24時間×365日=525,600分であるから、525,600分の1に上手く発作が当たったら見つかるが、そうでなければ見つからないという、あまりに当然の説明だった。(そう言われればその通り)

 「はい正常です」というのは、1年=525,600分の1に症状が出ていなかったというだけなのだから人間ドックは意味がないなどという気はないが、人間ドックとはそんなものだという正確な理解も必要だということ。

 この1年の525,600分の1分の間は異常なしだったということを拡大解釈して、「とりあえず何か異常ナシらしい」という一種の信仰だと思えばよいような気がしている。オンアビラウンケンソワカ

2021年9月29日水曜日

紫苑咲く

 紫苑(しおん)伸び大嵐来る九月末

 紫苑(しおん)が満開になった。ヒョロヒョロと背丈近くまで伸びる。
 毎年その頃に台風予報のニュースがあり、手当てを忘れると倒れてしまう。「ちっとは学習せいよ」と愚痴の一つも言いたくなるが、学習しなければならないのは私の方だろう。
 その紫苑に、綺麗なハナムグリが止まっていた。


2021年9月28日火曜日

平兵衛酢

 鍋はじめ へべすという名の 青蜜柑

 スダチのようなカボスのような宮崎名産『へべす』で鍋を食べた。合格である。
 昔懐かしいガラス製のレモン絞り器で絞って強炭酸で割ると超高級感のある飲み物になった。
 

2021年9月27日月曜日

行基の廟堂

   二昔ほど前の言葉でいうと日本人はエコノミックアニマルと蔑まれていたが、先日から中村哲さんの本や斎藤幸平さんの本を読んできて、それは二昔前のことでなく、今真っただ中の日本人も変わっていないような気がする。 

 少し以前のことだが、「共産党が歴史や伝統を大事にすれば世の中が変わるだろう」と言った「知識人」がいたが、この人の理解は古いステレオタイプ、・・というよりも大きな誤解があると私は思った。 

 個人的な趣味だが私は古代史が好きである。住居表示ではなく「奈良文化圏」に住んでいる。なのでどうしても重要な古代遺跡や遺物を大事にしたいと思い『なら歴史遺産市民ネットワーク』にも参加している。

 で、古都奈良の歴史遺産だから少なからず天皇(大王)や豪族の遺産が多くなる。そしてそういう歴史や伝統を保存し大事にしようと運動しているが、それを鼻で笑って「開発」や「観光資源」のためにブルトーザーで破壊を進めているのが自公政権やそれにつながる保守的な自治体行政である。何が保守か? 保守を名乗るなら歴史や伝統に敬意を払え!と、大きな声で叫びたい。

 先の「知識人」への回答だが、それは誤解ですよ、歴史や伝統を守れと必死に運動しているのが共産党や市民運動で、それを踏みにじっているのがニセ保守ですよ。 

 この5月、平城宮大極殿の西、行基ゆかりの喜光寺(菅原寺)を見下ろす丘陵上に奈良時代の八角堂の遺跡が見つかった。行基年譜にある『長岡院』・・行基の廟堂と考えられる。大極殿から見て東の興福寺の北円堂(写真)が藤原不比等の廟堂であるのに対にして西の行基の廟堂跡である。 しかし残念ながらコロナ下で大きな運動に拡がらないまま住宅開発のため破壊されたようである。 

 こんなにすごい遺跡が検討もされずに破壊されていく日本の文化行政はこれでいいのだろうか。何か日本人であることが恥ずかしいような気分になる。

2021年9月26日日曜日

鱗が何枚も

   森安孝夫著『シルクロードと唐帝国』(講談社学術文庫)は、不自由な目には少々辛い、予想に反して分厚い学術論文であった。それだけに、著者の言葉を借りれば「理科系的歴史学」として論理的で目から何枚も鱗が取れた感じがする。

 これも予想外だったが、序章が40頁もあり、序章のタイトルが「本当の自虐史観とは何か」というのも読み始めから驚いた。その小見出しをいくつか摘んでみると、●現代日本人の欧米コンプレックス、●進んだアジア、遅れたヨーロッパ、●人種・民族・国民に根拠はあるか、●唐代と現代のウイグル、●漢民族の実体、●日本人の歴史意識を問い直す、等々で、「私の目から見れば、20世紀前半における日本帝国主義の負の側面、例えば日韓併合・満州事変や南京大虐殺や従軍慰安婦問題などを率直に記述するのは自虐史観でもなんでもない」と述べていて、この序章だけを熟読するだけでも勉強になる。

 この大論文をブログ程度の紙数で語ることはできないが、「漢民族の中華」などという虚構を剥ぎ取れば、中華の実体は圧倒的にはユーラシアの遊牧騎馬民族の支配する多民族国家であったしそれらの攻防の歴史であった。

 些か学問的ではない情緒的な感想を言えば、中原(中華)の国家がチベットやウイグルを恐れる感情にも想像が及ぶ。そして、大相撲がモンゴル勢に席巻されているのも郁子(むべ)なるかなと思ったりする。

 内田樹氏は『日本辺境論』を著したが、ユーラシアの世界史を眺めると、日本列島は本当に世界の辺境、世界史の例外のような気がする。西欧知識人の代表のような第2次世界大戦中の駐日フランス大使で詩人のポール・クローデルは「私が絶対に滅亡するのを望まない民族がある。それは日本人だ。これほど興味ある古代からの文明を持っている民族を私は知らない」と言ったそうである。

 昨日は中村哲氏の本を紹介したが、昨今の「自虐史観攻撃」をする政治家などの知識やそも精神の薄っぺらさをつくづくと感じさせる読書の秋である。

2021年9月25日土曜日

花と龍の後裔

   23日の朝刊に岩波現代文庫の広告があったので、手持ちの本の奥付を見るとこの9月15日(文庫化)第1刷発行とあった。新刊広告よりも前に購入したというのは少々気分が良い。何も理由はない。

 澤地久枝氏は丁寧に生い立ちから聞いている。
 中村哲氏は小さい頃母方の実家で育ったが、母の父母つまり祖父母は北九州若松港の玉井金五郎とマン夫婦であった。玉井金五郎は背中一面に彫り物のあった『花と龍』の主人公であり、その長男(つまり母の兄)が火野葦平であった。

 父は元々大正期からの社会主義者で、母とは『花と龍』の港湾労働者のストライキで知り合って恋に落ちた。任侠の金五郎とは「弱い者いじめが許せん」というような男気で共感していた。父は玉井組の下請けの中村組をしていたが倒産し、転居し極貧生活となるも常に十数名の居候がいるという環境だった。

 …アフガンの中村哲氏についてはいくつも読んだりして知っていたが、この生い立ちの話や火野葦平の話はゾクゾクするように面白い。なるほど中村哲氏の胆力のルーツはそこにあったかという気持ちがする。興味のある方は購入してお読みください。

2021年9月24日金曜日

なますを吹く

 

箴言は先は闇とふ安全靴

2021年9月23日木曜日

曼珠沙華のCPU

 設定は彼岸どおりの彼岸花



2021年9月22日水曜日

望月

孫の来て月より団子の良夜かな


2021年9月20日月曜日

初嵐

 繋がれし機器のアラームのぞき込みナースらは大変ねと声を発せり

 9年ぶりに心房細動を発症した。
 そんなもので少しブログはペースダウンなり。

2021年9月14日火曜日

奇々怪々

   北朝鮮が
1112両日に新型長距離巡航ミサイルの試験発射に成功したと報じた。発射されたミサイルは、上空に設定された楕円(だえん)と8の字の軌道に沿って2時間620秒飛行し、1500キロ先の標的に命中したとしている。
 日本列島全体が射程距離に入るようなミサイルが2時間強飛んでいたのに知らなかった菅政権も極まれりと言ったところだ。

 さて、これはブラックジョークだが、日本で大きな選挙の前には「上手く」北朝鮮がミサイルを飛ばしている気がする。まるで、水面下で誰かが要請したように見えるのは考えすぎだろうか。
 ただ考えすぎるにはこんな不思議な話もある。
 
 810日、韓国を代表する「MBCテレビ」の看板番組が、「韓国の国家情報院(いわゆるKCIA)が日本の極右団体をこっそり支援している」と報じ、安倍前首相の「思想的支柱」ともいわれる大物・櫻井よしこ氏や氏が理事長を務める『国家基本問題研究所』を取り上げた。
 その後、櫻井氏は抗議の意思は示したが、韓国MBCに乗り込むとか告訴等の手続きはしていないようだ。
 反共軍事政権下のKCIAが日本の右翼を支援していたのはツジツマが合うし、韓国の右翼と連携して民主化後の韓国を口撃しているのもそういえば符合する。
 韓国の軍事政権派が「敵の敵は味方」とばかりに、個人情報や資金を、公安を通じて日本の極右団体に提供し、自国の「親・北朝鮮派」やリベラルにえげつない嫌がらせをさせたという構図らしい。
 
 真面目な保守の人々はこんな右翼を許していてはならないと思うがどうだろう。

2021年9月13日月曜日

未来の選択肢

   『人新世の資本論』の第7章で著者斎藤幸平氏は「脱成長コミュニズムが世界を救う」と述べている。その骨の骨を少しだけピックアップすると、次のようなことになる。

 ■ 気候危機とコロナ禍は似たものになるだろう。「人命か、経済か」と。行き過ぎた対策は景気を悪くするという理由で対策を先延ばしにすると、より大きな経済損失と人命も失われる。

 環境破壊で生じた難民等を排除・取り締まって、身内ファーストの政治をするトランプのような政治が①である。

 飢餓や貧困の深化は政治機構への信頼を失わせ、②の状態の芽は世界各地で起こっている。

 そういう最悪の「野蛮状態」を避けるため、効率の良いトップダウンの政治が生まれることもある。独裁国家である。著者は③気候毛沢東主義と呼んでいる。「ロックダウンの法制化が必要だ」と主張し、現に「見回り隊」なる国防婦人会まがいの監視社会を実行した維新の大阪府政などはここに含まれる。

 そこで、トランプや安倍や菅のような身内資本主義も善くない、自警団やネオナチやマフィアの跋扈する社会は嫌だ、習近平中国みたいな独裁国家も嫌だ、‥となれば、民主主義的な相互扶助を自発的に展開して持続可能な未来社会をつくる必要がある。それが、④脱成長コミュニズムだ。■

   報道されているところでは、ドイツの選挙の最大の争点は「環境・気候変動対策」になりつつあるらしい。日本国与党の総裁選とのレベルの格差に愕然となるが、つまりは、ドイツなどでは脱成長コミュニズムが当面の課題に近づいているようだ。

 さて、東大寺二月堂の修二会(いわゆるお水取り)は今年1270回目であったが、その法要の中では「頂上仏面除疫病」と唱えられている。人類は大昔から疫病に悩み格闘してきたのだ。

 そんなもので、肢体不自由児のチャリティー行事で、写真の大きな絵馬を求めてきた。「でうやくひょう」とフリガナがあった。

 コロナは最大の注意を払っていた人でも感染している。事実、「専門家」でも100%の保障は明言してくれない。最大の注意を払いつつ、感染した人を貶めるような言動には反対していきたい。

2021年9月12日日曜日

黒い揚羽

   9月になって黒いアゲハチョウが目立つようになった。写真はクロアゲハだと思うが、もしかしたらカラスアゲハかもしれない。それほどの珍客ではないが、「朋有り、遠方より来たる。亦た楽しからずや」といった気分である。

 鳥のカラスを差別するわけではないが、カラスアゲハの方がカラスよりも美しい。飛び方も優雅だし、あの悪声も発しない。

 さて、蝶は1匹2匹と数えずに1頭2頭と数えるのは昆虫好き少年の常識に類するが、ものの数え方の本によると、蝶はヨーロッパでは動物園でも展示されていて、他の動物同様にhead(1頭2頭)と数えられていたのを、明治の頃、その種の学術論文を翻訳するときに直訳したのが始まりらしい(他の説もある)。

 昆虫嫌いの人のなかには蝶類が最も苦手という人がいる。鱗粉に有毒の粉薬をイメージするのだろうか。私といえば森英恵デザインの蝶のネクタイを数本持っていた。嫌いな人には相当引かれていたことだろう。今は昔のことである。

   蝶の話で終わるつもりだったが、裏の歩道に接した隣家の生垣の中にスズメバチの巣があった。その日の朝も街路樹の下草の草刈りなどで行き来していたところである。業者が駆除に来たので知ったのだが、相当危険なニアミス状態だった。くわばらくわばら。

2021年9月11日土曜日

空虚な発言 空虚な報道

   コロナ対策に専任(専念?)したいと言いながら国会も開かず、もちろん議論もしない菅首相の後継をめぐる自民党総裁選挙が、まるで競馬の予想かプロ野球の順位のようにマスコミを賑わしている。こうしてマスコミをジャックして宣伝しようとする政権与党の作戦・常套手段である。

 情けないのは、こういった作戦にメディアは忖度と「特ダネ主義」で絡めとられていることだ。この候補者がこう言った、あの候補者はああ言った・・と。

 大切なことは誰それのその発言は信用できるかどうかで、そこの検証こそがジャーナリズムの役目でないのか。

 安倍、菅政権で蔓延したご飯論法は自民党全体を覆いつくした感がある。

ご飯論法とは、Q朝ごはんは食べましたか? Aいいえ食べていません。(パンは食べたけど)という議論のすり替えで、安倍晋三に至ってはサクラを見る会で公式行事の私物化、有権者への利益供与(早い話が買収)を追及されると、「有権者に参加を募ったが募集はしていない」と述べたのには、それが「うんざりさせる」作戦だとしてもうんざりしてしまった。

安倍首相・菅官房長官コンビは財務省の公文書を改竄し、学術会議会員任命文書を破棄・隠蔽したが、菅首相自身も著書『政治家の覚悟』を改訂する際に「公文書の管理の重要性」を綺麗に抹消した。

そこで、総裁選候補者だが、岸田氏は92日にモリトモについて、「国民が判断する話だ。国民が足りないと言っているので、さらなる説明をしなければならない課題だ。国民が納得するまで説明を続ける」と語ったが、安倍氏の反発を耳にした途端、96日には「再調査をするとか、そういうことを申し上げているものではない」と述べ、再調査は必要ないとの考えを強調した。

河野氏に至っては、写真のとおり世情が反原発の際には「反原発」を言ってスタンドプレイを行い、今般には自民党内の風を読んで「原発再稼働はある程度必要だ」という始末だ。

つまり、まったくもって信用ならぬこういう発言や政策?を、まるでそのように実行されるかのように朝な夕なに垂れ流すメディアに矜持はあるのかということだ。

その、結果論としての質の悪さは大阪維新と在版メディアではっきりしている。コロナでいえば、昨年中にワクチン接種が終わり、「大阪はようやってる」はずではなかったか。それこそテレビに出ることが仕事のような首長の下で、感染者数は実数で人口の多い東京を抜き、死亡者数は常に最多を更新している。それでも、「病床を増やす」「保健所の体制を拡充する」という、あまり実体のない“やるやる詐欺”に在阪テレビ局等は手を貸している。

メディアは、言葉(日本語)を貶めてはならない。信用ならない言動を垂れ流すのは共犯者になるということである。

2021年9月10日金曜日

基礎疾患あり

   大阪で10代の方が亡くなったと朝日新聞が報じているが、その袖見出しは「基礎疾患あり」というものだった。

 これは「だから、基礎疾患のある方は注意してください」というご忠告だろうか。
 それよりも思うに「亡くなったのは基礎疾患のせいかも」という印象を受けた読者が多いのではないだろうか。

 この個別事案そのものについては私は全く存じ上げないので、評価というか判断めいたことは言う気がない。
 ただ一般論になるが、「基礎疾患あり」という付記が、どちらかというと新型コロナ肺炎の危険性を誤解させ、死亡や重症患者に「自己責任」という濡れ衣を着させないかと心配する。

 私はかつて過労死の労災認定の仕事をしていたことがあるので、少し意見を述べさせていただきたい。例えば、医師等医療従事者がコロナ肺炎患者と接触する中で自身も感染し、その医師等医療従事者に基礎疾患があった場合の労災認定とイメージしていただくと分かりやすい。
 業務(医療行為)によって感染したものであるから労災か、それとも基礎疾患の増悪若しくは競合によるもので私病(一般的には健保と厚生年金等)かということだ。

 そもそも人間(この場合は医師等医療従事者)が全く健康で一切の基礎疾患と無縁であるのは稀有なことであるが、それでも普通に働いているのが(それこそ)普通である。もし基礎疾患があったことが労災認定の決定的な判断基準であれば、いわゆる過労死事案などはほとんどが門前払いになるだろう。

 こういう場合労災認定では、「発症又は増悪の経緯若しくは病態が、当該基礎疾患又は既存疾病の自然経過や他の原因によるものとは明らかに異なり、基礎疾患又は既存疾病の自然経過を超えて発症し又は著明に増悪したと医学的に認め得る場合には、相当因果関係が認められるものとして、業務上疾病として取り扱われる」とされている。
 こうして、肥満、高血圧、高脂血症などの基礎疾患があっても、多くの場合は労災認定されることがあるのである。

 さて、現下の社会問題としては、特に大阪では行政の怠慢による医療崩壊が続いている。「自宅療養」などという言葉は戦時中の「転戦」同様の言葉で、本質は入院拒絶された患者である。
 よって、「基礎疾患あり」というような見出しやコメントが、そういう大阪の行政責任を薄め、ともすれば感染者を自己責任論に閉じ込めはしないかと心配している。

2021年9月9日木曜日

4野党政策協定成る

   9月8日朝、立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組各党代表は、『安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合』が提起した諸政策を共有して戦い、この政策を実行する政権の実現を目指すことについて合意し、署名を行った。(写真参照)

 リベラルな庶民からすると「遅すぎた」気分もあるが、衆議院選挙で「こういう政権の実現を目指す」政策協定が成ったのは歴史的な出来事ではないだろうか。

 私は『市民連合』の皆さんのご尽力に、心から敬意と感謝の気持ちを表したい。

   国民民主党が不参加なのは、きっと、『再生可能エネルギーの拡充により、石炭火力から脱却し、原発のない脱炭素社会を追求する』が承認できなかったのだろう。知らんけど。

 維新の会は呼びかけられてもしないのだろうが、「森友・加計問題、桜を見る会疑惑など、安倍、菅政権の下で起きた権力の私物化の疑惑について真相究明を行う。 日本学術会議の会員を同会議の推薦通りに任命する。 内閣人事局のあり方を見直し、公正な公務員人事を確立する」・・を内容とする『5 権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する』という政策は、ブーメランになるので参画出来ないだろう。参画してほしくもないが。

 次は小選挙区の調整になるだろう。是非とも各党が「大人の対応」をしてほしい。少なくない小選挙区で共産党はきっと裏方に回ることだろう。その人情を理解されるなら、少なくとも『比例は日本共産党』と投票してほしい。

 先日ビートたけしさんがニュース番組で、堂々と「共産党に投票する」とはっきりと発言した。彼の場合は後で「ギャグだった」というかもしれないが、その放送のかぎりでは非常にまじめな発言だった。「アメリカではアナウンサーだって支持政党をはっきり言うものだ」とも付け加えていた。
 さらに先日、我が友人の住職が共産党のオンライン演説会に登場してくれた。だからというわけではないが、もっと普通に共産党への支持を訴えることを皆さんにお願いしたい。ホームで演説をぶってもアウェイで借りてきた猫のようではいただけない。

2021年9月8日水曜日

政局

 政局などというのは一番興味のないところだが、確か安倍前首相が禅譲?の候補として名前をあげていた岸田氏が結局安倍氏に支持されず、安倍氏が高市氏を支持するという報道に接し、へえ~という気持ちで、少し政局についても考えてみた。

 岸田氏は9月2日のテレビ番組でモリトモについて問われ「国民が判断する話だ。国民が足りないと言っているので、さらなる説明をしなければならない課題だ。国民が納得するまで説明を続ける」と語った。

 その後、候補者が乱立し、しかも岸田氏の支持率が急速に低下し、岸田氏は9月6日のインターネット番組で「再調査をするとか、そういうことを申し上げているものではない」と述べ、再調査は必要ないとの考えを強調した。

 こういうのは一般的には「後の祭り」といい、安倍・菅政権を支えてきた安倍や麻生からすると「信用ならん奴」ということになり、安倍の高市支持になったのだと思う。麻生派の河野を含めて候補者はいずれも安倍・菅悪政に多かれ少なかれ参画してきた「同じ穴の狢」であるが、マスコミはレース予想ではなく、モリカケサクラを候補者に問うべきだろう。

 特に俄然注目を浴びだした高市氏は、「説得できない有権者は抹殺」などという記述のある、ナチス礼賛本に推薦文を寄せたり、ネオナチ団体代表とツーショット写真を撮っていたり、「先の戦争は侵略戦争ではなかった」「国会デモを取り締まれ」「福島原発事故で誰も死んでいない」などという暴論を吐いてきた。 

 また、その言論弾圧体質も有名で、総務相だった2016年には国は放送局に対して電波停止できると国会答弁したこともある。しかもつい最近も、ヘイトデマで敗訴したばかりの『虎ノ門ニュース』出演、「Hanada」では大東亜戦争肯定論を寄稿している。こういう時代錯誤の人物に政権を委ねるわけにはいかないが、もし彼女が政権を担うなら、総選挙で政権交代の声はいやがうえにも高まるだろう。

 はからずも、自民党にとって一番の泣き所(最重要課題?)は総選挙でモリカケサクラを問われることだということが明らかになったのではないか。他の無策・悪政はムニャムニャと言い逃れができても、これだけはどうしようもない、言い逃れができない。だとすれば、大阪の住民投票で、トコーソーなどという言葉でなく「大阪市廃止反対」で的を射たように、モリカケサクラに群がった利権と時代錯誤の右翼政治の責任を問うというキャッチコピーが強調されてよいのではないか。

2021年9月7日火曜日

福笑い その後

   病院へ行ってきた。
 「結局原因は何ですか?」「わかりません。帯状疱疹などのウイルスが活性化して末梢神経を障害しているのでしょう」
 「特効薬や治療法はありませんか?」「悪化はしていないので、ビタミン剤を飲み続けてください」
 「どれくらいで治癒しますか?」「わかりません。何カ月もかかる人はザラにいます」

 悪化していないのを喜ぶべきか・・・、気分の晴れない診察結果だ。
 目薬は貰ったが、投薬はビタミン剤だけというのもあまりにアイソがない(当初はステロイドなどを結構大量に服用した)。

 一番つらいのは目が閉じないこと。なので何時もドライアイで目が痛い。
 耳の奥が痛いので入眠時に障害がある。
 鼻の詰まっているのもしんどい。
 口(唇)の麻痺はいろいろ工夫すればどうにかなる(歯磨きのあとでクチュクチュするときには指で唇を摘んだりして)
 
 ある朝、目が覚めたらこういう風になっていた。ご同輩の皆さん。くれぐれも過信せずご自愛ください。

 先見えぬ通院の道に赤とんぼ

2021年9月6日月曜日

人新世の「資本論」

   30万部超の大ベストセラー(私の購入したカバーでは20万部突破??)であるから意気投合する友人に巡り合うのに何の不思議もないが、”いよいよ総選挙”というメールを送った友人にこの本の一読を勧めたところ『(既に購入済みで)まだ第1章です。「人類の経済活動が地球を破壊する」今正にその状況。ぽちぽち読んでます。』と返信があり、”活字文化健在なり”と気分を良くしている。

 「人新世」(ひと・しんせい)とは、ノーベル化学賞受賞者パイル・クルッツェンが「地質学的に見て地球は新たな年代に突入したと言い、それを名付けたもので、人間たちの活動の痕跡が、地球の表面を覆いつくした年代という意味である。

 370頁超の論文の書評をブログ記事如きにまとめる能力はないが、カール・マルクスが資本論第1巻を刊行後、思索・探求していた諸々の史料を丁寧に読み解き、マルクスは、マルクス死後盟友エンゲルスが編集した第2巻、第3巻をさらに大きく「理論的大転換」を遂げていたと事実をあげて説明しているのは刺激的である。

 次から次へと”目から鱗”の提起があり、私は現在目に障害が生じていて読書が辛いという条件下にあったが、「早く全文を読み終えたい」という欲求がその条件を上回ったのであった。

 些細な言葉一つにしても、例えば我々はほとんど無条件に近い形で「自由」という言葉を肯定的に使用しているが、資本主義の下での「自由」は「不公平」と背中合わせ、否、事実上同質かもと大いに考えさせられた。「社会の脱炭素化」「民主主義の刷新」「資本主義の超克」も「常識」と見なされているものの根本的問い直しが必要だという。

 早い話が、世界は、資本主義の終焉以前に地球が壊れる時代である。そしてその克服の入口には、ハーヴァード大学の政治学者エリカ・チェノウェスらの指摘する「3.5%」があるという。3.5%の人々が非暴力的な方法で本気で立ち上がると、社会が大きく変わる事実が広がっていると。ウォール街の座り込みその他その他その他・・・・。

 冷笑主義を捨て、3.5%が動き出せば、資本の力は制限され、民主主義は刷新され、脱炭素社会も実現されるに違いない。

 9月2日のブログ記事のコメントで、読者の皆さんには”必読の書”だと書いたが、もし未だ購入されていない方は購入をお勧めする。そして、大いに語り合いたいものだ。

 コロナ肺炎感染拡大の下、集合しての行動が制限されるが、本は読める。意見を発信できる。SNSでも、他の電子媒体でも、手紙でも、電話でも、某住職のような「掲示」でも、方法は考えるならいくつもある。結果論としてコロナを言い訳にして何もしないのが一番良くない。政権を問う歴史的な総選挙を目前にして人生に悔いを残さない生き方をしたい。この本は読み終えるのに少し疲れるが、それ以上の力をくれる。

2021年9月5日日曜日

あゝおもしろい

   ラジオなどを聞いているとパーソナリティーなどが「コオロギなんかもう鳴いていますか?」という感じで二人ぐらいで会話をしている。きっと都会人なのだろう。この感覚が放送局に出入りしている人々の「普通」なのだろう。きっと。
 ちなみに、わが家から1分の草地では以前から文字どおり大合唱が演じられている。その草地の自然の豊かさは比較的ズボラで放ったらかしの地主(企業の研究所?)のおかげであるのだが・・。

 さて私はというとコロナや猛暑で巣ごもり状態だから、近頃は夜道を帰宅するとか散歩することもなく、反対に歳のせいで目が覚めて夜明け前に散歩したりという少々アブノーマルな生活なので十分観察(聴くこと)もできておらず正確ではないかもしれないが、今年の我が街ではアオマツムシの声があまり聞こえない。
 例年なら、騎馬民族征服説並みにヤマトの虫たちを凌駕して秋の野を我物顔にしているアオマツムシがである(それとも未明には鳴かないのだろうか)。

 先の草地だが、ツヅレサセコオロギ、エンマコオロギとあとはクツワムシみたいな割合特徴のない虫たちの中で、リーンリーンのスズムシ、チンチロリンのマツムシ、スイッチョンのウマオイは三大声楽家だとつくづく思う。
 ”生”に彼ら(基本的に♂だから彼ら)の声を聴くのは、脳やメンタルヘルスにも良いように思う。大都会の人々は便利さと引き換えに何かを失っているのでは・・などとも思う。読者のみなさん、虫の声を聴いていますか。腐敗した政治に怒ってばかりでは此方のメンタルも劣化しませんか。

 個人の感想だろうが、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は随筆のなかで、「日本人と古代ギリシャ人とは自然に対する感性が現代西洋人よりはるかに優れている」と述べている。
 鳴く虫を飼ったりして楽しむ文化は世界中にあるようだが、平安時代に「虫撰(むしえらび)」といって宮中に鳴く虫が献上されている記録がある。

 これから1か月ぐらいは俗っぽいニュースばかりが飛び交うだろうが、たまには虫の声をしんみり聴きたいと思っている。

 以前に書いたことがあるが、昔勤務していたこともある大阪市阿倍野区に、阪堺電車(チンチン電車)の「松虫」という美しい名前の停留所がある。謡曲「松虫」の地である。テーマは友情で、例によって亡霊が出てきて昔を語り終え、〽虫の音ばかりや残るらん、虫の音ばかりや残るらん、と閉じていく。

 松虫の声 アイスがなつかしい

2021年9月4日土曜日

盛者必衰

   祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅雙の花の色、盛者必衰のことはりをあらはす。おごれる人も久しからず、只春の夜の夢のごとし、たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。

 菅義偉首相が政権運営に行き詰まり、首相と自民党総裁の座を投げ出すことになった。
 表面的には菅・二階コンビの顏では選挙が闘えないという自民党内の思惑から出発したものであっても、安倍政権から引き継いだ「身内資本主義」、コロナ対策の大失敗、強権政治による意見の封じ込め、挙句は開き直り、その全てのツケが噴出したものだ。

 後継総裁を有力視されている岸田氏にしても、元々安倍政権からの禅譲も公言されていた人物であるから、上記の諸問題が解消されることは絶対にない。
 そういう状況下で首相と自民党総裁の座を投げ出すことは、喫緊の課題であるコロナ対策への責任も放棄するものとなる。こうした事態を生み出した自民党にも共同責任がある。基本的には最大与党の瓦解が始まっている。

 今後テレビは、芸能人のスキャンダル風に面白おかしく自民党内の抗争を報じるだろう。それは、社会に広く真実の課題を覆い隠すことになるだろう。
 とまれ、国民の課題は明白だ。利己の亡者たちの派閥争いに期待することなく、今こそ憲法を踏まえた新しい政権、政権交代のときが来た。
 市民と野党の共闘の大黒柱、日本共産党を躍進させるときだ。「比例は共産党」をもう一度心に刻みたい。

2021年9月3日金曜日

進めば極楽

   戦国時代の一向一揆の際、本願寺(今の浄土真宗や真宗)の門徒たちは「進めば極楽、退けば地獄」と書いた幟を掲げて戦ったが、故に本願寺が過激思想であったわけではない。・・・と、そんなことを考えてみた。

 アフガンがタリバーン主導で政権をつくるだろうことについて一番語られるのが過激思想、ジハード(聖戦)、自爆テロの恐怖のことだろう。

 一方、イスラーム圏には「インシャーアッラー」という言葉がある。「月曜日の昼に届けてください」「わかりました。インシャーアッラー」、「明日の朝10時にお会いしましょう」「うかがいます。インシャーアッラー」で、少なからず遅刻のいいわけに使われたりするらしい。「神様の思し召し次第なので神様のお力添えを願う」ということらしいが、この「ゆるさ」とジハードがどうつながるのだろうか。

 西谷文和氏の取材記事がある意味単純で一番わかりやすいかもしれない。
 ■ その日も、米軍戦闘機が2機、村の上空を通過していった。その日は、たまたまタリバーン兵が2人、村に潜んでいて、彼らが戦闘機にロケット弾を発射した。ロケット弾は当たらなかったが、米兵は攻撃を察知し、Uターンしてきて村ごと空爆していった。タリバーン兵の場所を探すわけでもなく、地上部隊が逮捕に向かうわけでもなく、村ごと焼いて、2人のタリバーン兵を殺すのに50人の村人が犠牲になった。生き残った村人は難民になり、親を奪われた若者が報復の戦線に加わっていった。■

 中村哲氏の話ににもこういうのがあった。出稼ぎで中東戦争に行ってきたという住民に「アメリカと戦ってきたのか」と聞くと「いやアメリカに雇われてだ」という話しだった。それから氏は医療よりも灌漑に軸足を移したらしい。

 アフガンも冬は凍りつく。村を焼かれ、凍りつくテントの中で飢える若者が「明日は吹雪だ。死ぬかもしれない。同じ死ぬなら爆弾を巻き付けて米軍と自爆してやれ」・・西谷氏は自爆テロをそう解説する。

 使い古された例えだが、『北風と太陽』の童話である。超大国アメリカは一貫して『北風戦略』できたのだが、それはことごとく失敗した。戦争でテロはなくせない。
 幸い日本自衛隊はアフガンで一人のアフガン人も殺していない(間接的には米軍の殺人に手を貸してはいたが)。ペシャワール会は診療所を再開している。世界がアフガン住民に生活支援を行うならば、きっと「ゆるい」社会が徐々に歩みを再開することだろう。政権交代で世界の中の日本が尊敬される日を夢見ている。

2021年9月2日木曜日

SDGsでよいのか

   8月18日『待合室にて』で「斎藤幸平氏の100分de名著・資本論」のことを書いたが、その後朝日新聞が「私,は肥大化 いま作る新しい,公」や「東京五輪 金もうけの道具 ツケは選手にも」など相当大きな記事を掲載したので熟読した。
 そして、氏の著作『人新世の資本論』を読んでいるのだが、これは病気のせいにしてはいけないが読み終えてはいない。ただ、途中段階ではあるが非常に刺激的な内容に些かワクワクしながら、早く日本共産党が気候危機について提言をまとめてほしいものだと思ってきた。

 そんな中、9月1日、『気候危機を打開する日本共産党の2030戦略』が発表された。待ってました!と言ったところだ、ポイントを箇条書きすると、
1,気候危機とよぶべき非常事態——CO2削減への思い切った緊急行動が求められている
2,「口先だけ」の菅・自公政権——四つの問題点
3,日本共産党の提案——省エネと再エネで、30年度までに50~60%削減
4,脱炭素、省エネ・再エネをすすめる社会システムの大改革を
5,脱炭素と貧困・格差是正を二本柱にした経済・社会改革で、持続可能な成長を
6,気候危機打開へ―—いまの政治を変えるために力を合わせよう

 詳細は、https://www.jcp.or.jp/web_policy/2021/09/post-882.html を!

2021年9月1日水曜日

砂けぶり 二

   砂けぶり 二
          折口信夫
 
焼け原に 芽を出した
ごふつくばりの力芝(チカラシバ)めー、
 だが きさまが憎めない。
 たった 一かたまりの 青々した草だもの
 
両国の上で、水の色を見よう。
せめてもの やすらひにー。
身にしむ水の色だ。
 死骸よ。この間、浮き出さずに居(オ)れ
 
水死の女の 印象
黒くちゞかんだ 藤の花
よごれ朽(クサ)つて 静かな髪の毛
―あゝ そこにも こゝにも
 
横浜からあるいて 来ました。
疲れきつたからだですー。
そんなに おどろかさないでください。
朝鮮人になつちまひたい 気がします
 
深川だ。
あゝ まつさをな空だー。
野菜でも作らう。
この青天井のするどさ。
 
 夜(ヨル)になったー。
また 蝋燭と流言の夜(ヨル)だ。
 まつくらな町を 金棒ひいて
 夜警に出かけようか
 
井戸のなかへ
毒を入れてまはると言ふ人々―。
われわれを叱つて下さる
神々のつかはしめ だらう
 
かはゆい子どもがー
 大道で しばって居たつけー。
 あの音―。
    帰順民のむくろのー。
 
命をもつて 目賭した
一瞬の芸術
苦痛に陶酔した
涅槃(ネハン)の 大恐慌
 
おん身らは 誰をころしたと思ふ。
 かの尊い 御名(ミナ)においてー。
  おそろしい呪文だ。
   万歳 ばんざあい
 
我らの死は、
涅槃を無視するー。
 擾乱の 歓喜と
 飽満する 痛苦と