2025年10月7日火曜日

月見団子

    「日本語は難しい」という文脈でよく出される例は「数の数え方が無数にある」ということで、その中にもさらに例外があって「ウサギは一匹二匹でなく一羽二羽」というのがよく出される。 
 その「ウサギの一羽二羽」の根拠については諸説があって、バカバカしいが面白いのには「鵜鷺だから鳥なんだと主張した」というのもある。
 通説では、主には哺乳類の肉食が避けられていた近世以前に「これはウサギ肉でなく鳥肉だ」という嘘を信じたふりをして食べていたときの風習」というのがあり説得力がある。
 言霊の思想なら、それをひっくり返して「一羽二羽と数えるから鳥だ」という説も成り立つ。

 さて、10月6日にあった仲秋の名月の月見団子のことである。
 関西の多くの月見団子は細長いダンゴに前後を残して餡を巻いたもので、この不思議な形にも諸説がある。
 私の実母などは「あれは”月に叢雲”を表しているんや」と言っていたが、通説では元もと名月に里芋(衣かつぎ)をお供えしていたのを模したものと言われている。
 上等な菓子で下等?な里芋を模する必要があるのか?という疑問がないわけでもないが、これも「ダンゴみたいな奢侈(贅沢)を食べるものではありません。これは里芋です」と言えば奢侈禁止を破る確信犯でなくなったのではないだろうかと想像する。
 子どもの絵本などでは三宝に丸いダンゴがピラミッドになっているから、関西の大人は意識的に関西風月見団子をお供えしないと、次代、次次代に地域の伝統は継承できなくならないだろうか。

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