2023年5月22日月曜日

追悼句

  友人の偲ぶ会でTさんが追悼句を2句送ってくれたのを紹介する。

  道標の文字の掠れや道をしえ

 山道のイメージが浮かんできた。石の道標の文字は余程でないと掠れて来はしないが、文字の掠れは過ぎた日の長さを感じさせ寂しい思いがする。我々の付き合いも長い時間が過ぎた。「道教え」とは昆虫のハンミョウのこと。山道を歩いていると道の上に小さくてきれいな虫がいる。近づくと少し先まで飛んで行ってまた道の上で止まっている。さらに近づくとまた先に・・。なので「道教え」と呼ばれる。普通明るい方明るい方へと案内してくれる。彼もきっとそういう方へ案内してもらっていることだろう。作者の話で覚えていたことなどを私風にコメントした。


  人生の片道切符鳥帰る

 渡り鳥にはいろんな渡りのコースがあるが、渡る鷹であるサシバなどが秋に南に帰るのは見ごたえがあるものだ。それぞれで中部山岳地帯などで子育てもした鷹たちは伊良湖岬にだんだん集結し、三重県と奈良県境の高見山などの上昇気流を捕まえて高く舞い上がり、中央構造線に沿って愛媛県佐田岬を通って九州から南に向かうのが有名。彼はそういう場所に生を受けた。年年歳歳、渡り鳥達は来春にはまた上ってくるだろう。渡り鳥達のように往復したいものだが、しかし私たちの人生は片道切符だ。渡り鳥達よ、来春も彼の思い出を運んできておくれ。


 ちなみに、私の追悼句は捻りも何もなく、

  おぼろ夜やいつもの席は空いてます



2 件のコメント:

  1. 心温まるつどいでした。本人が一番参加したかったろうに、いつでも帰っておいで、待ってるぞ。

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  2.  「請われれば一差し舞え」という言葉があるが、何かの行事のときに「こんなことを思いついたので一緒にやってくれ」というと、「自信はないけどがんばるわ」と必ず「そんなんようせん」とは断らなかった。
     ひげ親父さんの仰るとおり、一番こちら側が似合う男だった。
     その男を欠いてしまったが、集まった面々も好い男(結果として男ばかりになったが)ばかりで、素晴らしく気持ちの良い会だった。みんなありがとう。

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