2023年5月25日木曜日

蕺草

   牧野富太郎著『植物知識』(講談社学術文庫)を持っていて一通り読んだことがあるが、ドクダミのことは地味なこともあり記憶に残っていなかった。

 ドクダミはその語呂と臭気から毒草の代表格のように誤解されているむきもあるが、その名は「毒を追い出す」という正反対の意による。
 「そのため十の薬効から十薬だと理解していたが、この本では「蕺薬」(じゅうやく)が正しく、それは中国名の「蕺」(しゅう)からきているという。

 新潮日本語漢字辞典では「蕺」だけで「ドクダミ」と書かれている。

 この草は日本と中国が原産で、ヨーロッパの植物園では大切に栽培されていると前述の本に書かれている。

 この草はちょっと触れただけでキツイ臭気を漂わせるが、私はハイキングで山道に入ったときの記憶と重なって、汚染された都会の空気から清浄な山地の空気に辿り着いたイメージがして、決して嫌いな「臭気?」ではない。

 この本でも、この草が如何に根絶し難いかを説明しているが、わが庭でも「まいりました」と半ば投了寸前である。

 昔、本を読んでこの草を天ぷらにしたことがあるが、いっぺんに臭気が抜けて「ただの植物」になった。山菜のような個性が消えて普通に食べられた。
 ベトナムでは普通に食材らしく「パクチーのよう」と書かれているが、私はパクチーはあまり好きではないので試食しようという興味が湧いていない。

1 件のコメント:

  1.  25日の朝ドラ。万太郎は寿恵子にドクダミの絵を描いてあげていました。さて、中公新書の『雑草のはなし』では「名前の由来について①毒が入っているという意味の毒溜、②十の薬効から十薬」とありますが、私は牧野説の方が正しいように思います。脱帽です。

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