2023年5月9日火曜日

ようず哉

   老人が一人亡くなるということは図書館がひとつ無くなるということだ」というアフリカの諺(ことわざ)は、当時の国連アナン事務総長から教わったが、日本にも「生き字引」という言葉がある。

 義母からは生前いろんなことを教わって、先の諺がナント的確だったかと実感としているが、そんな一つが『ようず』で、老人ホームに訪ねた折、「今日は(これは)ようずやなあ」と教わった。そのとき私は知らない言葉だった。

 調べると広辞苑にも載っているが、ネットにあった日本大百科全書(ニッポニカ) 「ようず」の解説は次のようだった。

 🔳 近畿・中国・四国などの地方でいわれる風の名で、主として春に吹く、なまぬるい雨もよいの南風をいう。奈良県では頭痛を催すような南寄りの暖気としてこれを表現している。「みなみけ」ともいう🔳 

 それ以後、そんな心象を伴う春の風が吹くと、義母の口ぶりで「ようずやなあ」と独り言をいうことが増えた。 
 実は最近友人を偲ぶ会を準備している。
 行きがかり上追悼句を一句捻る必要が出てきて、『ようず哉』という下五が浮かび、私の心象としてはピッタリなのだが、あまりに半分死語みたいで伝わりにくそうなのでボツにした。 
 しかし、ほんとうは「ようず」にしたかった。そんな気持ちだ。「ようず」は春の季語。

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