2020年5月29日金曜日

コロナウイルスK型のこと

 山中伸弥先生ではないけれど、日本政府のコロナウイルス対策はどう見ても落第点であるにもかかわらず、死者数等の「結果」がよいのは何故だろうかと多くのまじめな研究者が研究している。(死者数も小さく公表されている疑いが濃厚であることは解ったうえで)
 例えば「日本株」型のBCG説などもアジアと西欧の比較で興味深い。

 もっと社会習慣に注目した説としては、キスやハグが一般的でない、マスクに抵抗がなく実際に広がっている、清潔な水が豊富で手洗い・うがいも浸透している、政府等「権威あるもの」の要請に従順に従う国民性、靴(の裏の泥)を脱いで室内に入る習慣などが指摘されている。
 その上で「西欧の言語に比べて破裂音が少ない日本語」(大声の破裂音は多量の唾を飛ばす)という指摘もなかなかユニークだが一要素かもしれないと思わせる。(こういう話は私は好きだ)

 とまれ、もっと医学・疫学の方面から思わぬ説が提起されている。

 そういう、下記に転載する プレジデント オンライン 5月27日の記事は私には大いに参考になった。
 正直なところ十分に理解できているわけではないが、ご紹介するので皆さま方も検討して、ご意見やご感想などをいただけるとありがたい。(以下 転載)

  ◆世界がモヤモヤする「日本の奇蹟」を裏付ける"国民集団免疫説"…京大教授ら発表

  新型コロナウイルスの感染拡大で、一時は日本も医療崩壊の危機に見舞われた。だが、日本が「不幸中の幸い」だったのは、世界各国に比べて死者数が大幅に抑え込めたことだ。京都大学大学院医学研究科の上久保靖彦特定教授と、吉備国際大学(岡山県)の高橋淳教授らの研究グループによると、「実は日本人には新型コロナウイルスの免疫があった」という——。

  断トツで少ない日本のコロナ死者数
日本政府の新型コロナウイルス対応はたびたび批判を受けてきたが、日本は新型コロナウイルス感染症による死者数が群を抜いて少ないのは事実だ。521日現在の世界各国の 死者数は次のとおりである。 
アメリカ合衆国 93806
イギリス 35704
イタリア 32330
フランス 28132
スペイン 27888
ブラジル 18894
ドイツ 8270
中国 4634
ロシア 3099
日本 784
韓国 264人 
 なぜ国ごとに死亡者数に開きがあるのか、特になぜ日本はここまで死亡者数を抑え込むことができたのか。国民から散々批判を受けた、政府の新型コロナウイルス対策が正しかったという証拠なのか。それとも違う要因があるのか。
  京都大学大学院医学研究科の上久保靖彦特定教授と、吉備国際大学(岡山県)の高橋淳教授らの研究グループは、「日本人には新型コロナウイルスの免疫があったので死者数を抑え込むことができた」という内容のプレプリントをCambridge Open Engageに発表している。

  研究グループによると、新型コロナウイルスには3つの型があるという。S型、K型、G型だ。最初にS型が発生し、それが変異したものがK型。武漢でさらに変異した感染力の強い型がG型だ。

  今年インフルエンザ感染者が少なかった真の理由

 今年、日本ではインフルエンザの感染者が少なかったといわれている。新型コロナウイルスへの警戒で手洗いが励行された結果と見る向きもあるが、実は日本人が早期に新型コロナウイルスに感染していたため、インフルエンザにかからなかったというのが上久保教授らの見解だ。
 実は、インフルエンザに感染すると、新型コロナウイルスに感染しなくなる。逆もしかりである。これをウイルス競合、あるいはウイルス干渉と呼ぶ。先駆け(sakigake,S)であるS型は、無症候性も多い弱毒ウイルスなので、インフルエンザに対するウイルス干渉も弱かった。S型から変異したK型は、無症候性〜軽症で、中国における感染症サーベイランスでは感知されず蔓延したが、日本のインフルエンザ流行曲線が大きく欠ける(kakeru,K)ほど、K型ウイルスの流入が認められたという。

  武漢においてさらに変異した武漢G型(typeG,global)は、さらに重症の肺炎を起こすため、中国の感染症サーベイランスが感知し、123日に武漢は閉鎖された(武漢市長によるとむしろ閉鎖により約500万人が市街に流出したともいう)。一方、上海で変異したG型は、最初にイタリアに広がり、その後ヨーロッパ全体と米国で流行した(欧米G型)。

  実は日本人は早期から新型コロナに感染していた

 日本政府が行っていた入国制限は、39日までは武漢からに限られていた。その結果、S型とK型が武漢以外の中国全土から日本に流入・蔓延し、多くの日本人が感染した。日本人は、武漢で猛威をふるったG型が日本に到来する前に、すでに新型コロナウイルスの免疫ができていたということなのだ。旧正月「春節」を含む昨年11月~今年2月末の間に、184万人以上の中国人が来日したともいわれている。
  なお、G型ウイルスはK型より非常に感染力が高い。そのため、G型に集団免疫が成立するには、集団の80.9%の人が感染して免疫を持たなくてはならないという。一方、K型で集団免疫が成立した段階では集団54.5%しか感染して免疫を持っていないため、80.954.5=26.4%に新たに感染が起こる。K型で集団免疫が成立していたにもかかわらず、日本に流行が起こったのはこのためだ。

  一方、アメリカやイタリアなどの欧米諸国は、中国からの渡航を日本よりも1カ月以上早い2月初旬より全面的に制限したため、K型の流入は大幅に防がれた。一方、S型が広がっていた時期には渡航制限が無かったため、S型はかなり欧米に蔓延した。

 ADEという恐ろしい現象

 実は、S型に対する免疫はG型の感染を予防する能力が乏しく、さらに、S型への抗体には抗体依存性免疫増強(ADE)効果があることが推測されている。
 抗体依存性免疫増強(ADE)効果とは、抗体の助けを得てウイルスが爆発的に細胞に感染していく現象のことである。ADEが起きている間、ウイルスは細胞内に入っていき、血中からは減るので、一見病状が改善したような状態がしばらくは続く。しかし、ある時点でウイルスが細胞を破裂させるかのように大量に出てきて、患者の急変が起こる。
  この「S型への抗体によるADE」と、前述した「K型への細胞性免疫による感染予防が起こらなかったこと」の2つの理由により、欧米ではG型感染の重症化が起こり、致死率が上がったというわけだ。

  日本は武漢以外の国からの入国制限を始めるのが遅かったおかげで、K型への集団免疫ができ、感染力や毒性の強いG型の感染を大幅に抑えることができた。他国に比べて遅いと言われた入国制限のタイミングは、逆に感染予防に功を奏したのだ。しかし、台湾やオーストラリアなどは早期に入国制限を行ったが、こういった中国と関係があらゆる面で深い国々の場合は、武漢閉鎖時に反対に500万人の流出があったのと同じような現象も起こりうるため、入国制限直前に多数の入国があるかもしれない。

  ADEと重症化の関連性は、ウイルス撃退の鍵になる

 ADEが欧米の新型コロナウイルス患者の死亡率を高めたことがわかったため、ADEを手がかりに、今後どんな患者に重症化のリスクがあるかが推定できる。妊婦、妊婦から抗体を受け取る新生児、免疫系の発達が未熟な幼児、そして免疫系が衰えた高齢者だ。
  なお、ADEによりウイルスが細胞に侵入した場合、細胞の外にあるウイルスを測定するだけでは体全体のウイルス量はわからない。ヨーロッパでは、ウイルス量が低下していたにもかかわらず重症化した患者が報告されている。

 また、昨今免疫パスポートのための抗体検査の導入が世界で叫ばれている。新型コロナウイルスなど無症状感染が多く蔓延している場合、誰が感染して誰が感染していないかの鑑別が難しい。しばしば陽性と陰性の境界値(カットオフ値)を決定することが困難であり、カットオフ値を高く設定しすぎていると、感染の既往があったとしても、多くは陰性を示してしまう場合があることにも言及している。
  また、特にK型に感染した人は、T細胞免疫が誘導され、G型の感染を予防する。その場合は、G型ウイルスが体内に入りこめないため、むしろG型の抗体はできない可能性が高いという。

  未知のウイルスの解明は着実に進んでいる

 そのため、日本人の50%強は武漢G、欧米G型への抗体を持っていないと推量され、正しいカットオフ値を設定された抗体キットなら、約30%で武漢G、欧米G型への抗体は陽性になると推量し、CD4T細胞の検査(K型により獲得したT細胞免疫の評価)と正しいカットオフ値を設定された抗体キットのコンビネーションでの評価が必要と研究グループは言及している。検査すれば簡単に白黒はっきりすると考えられがちだが、検査とはそういうものではないようだ。
  新型コロナウイルス感染者を重症化させているのがADEだとわかったということは、特効薬を開発したり予防策を練ることも可能になったということだ。新型コロナウイルスの収束まで先が見えないが、未知のウイルスの解明は着実に進んでいる。

2 件のコメント:

  1. いろいろ研究が進んでいるようですね。日本の専門家会議は、第二波三波がきてもクラスター追いかけ作戦でいくのでしょうかねー。

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  2.  三密、三密と言っておれば大集会やデモがしにくくなるので、安倍晋三は神風邪、神風邪と笑っていることでしょう。ただ、ツイッターデモ、ネットデモは「想定外」であったに違いありません。

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