『明治19年(1886年)の7月。それはとても暑い日だった。』
第162回直木賞受賞作、川越宗一著『熱源』の第一章の12はそういう文章で始まっていた。
この年アイヌの村にコレラや痘瘡(天然痘)が蔓延し、主人公ヤヨマネクフの最愛の妻キサラスイも3歳の子を残して逝ってしまった。850人ほどいた村から340人を超す死者が出た。
非常事態宣言下でこの本のことを思い出した。
人類の歴史に感染症は切り離せない。
私の実母は生前「スペイン風邪の折は火葬場周辺に棺桶が並んだ」「棺桶も足らなかった」と言っていたが、喉元過ぎればというか、特に戦後の日本人は目先のGDPとやらに引きずられて『まさか!に備える』を忘れてきた。
学者は「今後も世界中が新種の感染症に襲われることがあるのは間違いない」と指摘している。
現政権は、収束したならば GoTo で花見景気だと言っているが、収束したならば、もっと理性的に未来に備える賢い政権をつくりたいものだ。
近くの楠木も地味ではあるが満開だ。
4月20日に檜のヒノキチオールが肺炎球菌による肺炎に有効だと書いたが、楠木の香り(カンファー)の薬効も勝るとも劣らない。
カンファーはカンフル。カンフル剤のカンフルである。
私は葉っぱをちぎってくしゃくしゃにして香りを嗅いだ。
コロナウイルスには効かなくても、共感疲労感にはよいカンフル剤になった。
楠木はカンファーツリー深呼吸
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