2020年5月14日木曜日

ツイッターデモと十七文字

   13日付け朝日新聞が「検察庁法改正案 SNS批判」という見出しで「ネット上で9日夜から広がった#検察庁法改正案に抗議します・・のツイッター投稿が600万件に上った」ことを報じた。
 報じられたこの現象はツイッターデモとも言われ、新語流行語になるかもしれない。(その後900万を超えている)

 記事は「首相周辺はおよそあり得ない数字と言っている」とも書きながら、その横に並べて東大計算社会科学の鳥海准教授の分析を掲載し、「複数のリツイートの人もいたが、自動的に投稿や拡散を量産する『ボット』や不自然な傾向はほとんど見られなかった」「同じ内容を何回も投稿する『スパム』も少なかった」「少数による意図的につくられた動きでは!との指摘は誤りだ」と、右側の「与党強硬600万疑問視」の見出しに対して左側で「不自然な量産見られず」と見出しを打っている。

 この記事で私が感じたことは、首相周辺がなぜ600万を「疑問視したか」で、結論を言えば、早い話が、自分たちがアルバイトなどのネトウヨや先にあげた機械的な操作を使って「世論」を捏造してきたからだろう。
 実際ネトウヨの投稿には、単純な文字や事実の誤りが全く同じ不自然なツイートが大量に拡散されている例も多々ある。

 この「疑問視」に関連して参考になるフェイスブックの記事が先日あった。西沢昭裕氏の59日 の投稿要旨(該当部分)を以下に抜粋する。
 ◆人間はだいたい自分のやってきたことを基準に他人をみる。 
 正直者は他人もみな正直者だと錯覚する。
 いっぽう、安倍晋三のようなウソつきは、人間はみな俺のように大なり小なりウソつきなんだと勝手に得心しているのである。
 こういうことを痛切に感じたのは、昔、沖縄の渡嘉敷島に行って集団自決の現場で幼児で生き残った金城さんの証言を聞いたとき。金城さんは自決した母親にとりすがって泣いているところを上陸してきたアメリカ兵に助けられた。
 渡嘉敷に駐屯していた日本軍守備隊長は米軍上陸を目前に、島民を集めて集団自決しかないと説得した。男も女も子供も、敵はすべて容赦なく皆殺しにするからと住民をこんこんと説得した結果、住民らは愛するものが無惨な殺され方をするよりはと、家族ごとに支給された手りゅう弾で自決に追い込まれたのである。1945328日のこと。 
 実はこの守備隊長らの部隊は、渡嘉敷島守備を命じられる前までは、中国大陸で日本軍に抵抗する中国の民衆を文字通り皆殺しにする、いわゆる三光作戦をやってきた部隊だった・・。(引用おわり)

 よって、人間というものは、他人のことを語っているようで実は自分のことを語っているのだなあ・・というのが私の感想。
 いやはや言葉とは恐ろしい。(以上、長すぎる前説(まえせつ))

写真は記事とは連動していません
   そういう恐ろしさを知らぬまま、13日付け赤旗『読者の文芸 俳句 三宅やよい選』に拙句を拾ってもらった。
 春陰や共感疲労を検索す  というものだ。

 十七文字のため読者がどのように感じてもらってもいいのだが、蛇足ながら作者の気持ちを書いてみる。
 春陰(しゅんいん)は春の季語で、花曇りよりももっと暗くて陰鬱な春の曇天である。
 共感疲労(きょうかんひろう)は、自分は実際には直接的には問題に突き落とされてはいなくても、コロナのニュースなどで、いろんな辛い悲惨な問題に直面している方々の姿を見るにつけ、その辛さ悲しさに共感してこちらのメンタルが疲れ切ってしまうという新しいストレス障害の名前である。

 「そうだよなあ、何か気が塞ぐなあ」「こんな気分を何とか言ったよなあ」「確かあ・・・・」
 と念のためネットで「共感疲労」という言葉を検索したというような、実に他愛もないことなんです。

 蛇足の蛇足ながら、現職の頃、いわゆる「過労自殺」や「鬱」の労災を担当してきた。
 その頃の精神科の先生の話を基に考えると、人は「共感疲労」を感じて当たり前だということになる。
 反対に、この状況下で「別に」と共感疲労を感じないとしたら、それは人として当然あるはずの感受性や人間性に問題があるかもしれない。
 ただし、共感疲労で「仕事ができない」というような谷底に落ち込まないよう、一定の対処(歯止め)が必要で、そんなときは頭の中に竹林を造成して、十七文字などを捻ってみるのも良い。文学や芸術は辛いときにも(こそ?)人を救う。

3 件のコメント:

  1.  後半の俳句についてFbに載せたところ、多くの方々から「いいね!」をいただきました。ありがとうございました。
     お母様が俳人・歌人として有名であった市田忠義さんからも「いいね!」をいただきました。
     このブログやFbを読んでくださった皆様に御礼申し上げます。

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  2. どんなに多忙であっても、FBに目を通しておられる市田さんに感激しました。

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  3.  政治問題の外にも博識の上に人情味が溢れた方でケンタさんに同感です。足下にも及びませんが気持ちだけは見習わなければと思っています。

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