2020年5月27日水曜日

レムデシビルの不思議

   厚生労働省は57日、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会をweb会議形式で開催し、米Gilead Sciences社が、COVID-19に対して開発している抗ウイルス薬「ベクルリー点滴静注液100mg」等(一般名レムデシビル)の特例承認を了承。厚労省は同日付で同薬を正式に特例承認した。

「コロナのため」との印籠が出されると「特例承認」も称賛の表彰台に祭り上げられるが、私のような「心配性」は「特例三日承認」に何か気分の悪さを覚えている。

 レムデシビルは、Gilead社がもともとエボラ出血熱を対象に開発を進めていた低分子化合物で、細胞内で代謝された後、ウイルスのRNAポリメラーゼを阻害することで、SARS-CoV-2の増殖を抑制すると考えられている。
試験管内(in vitro)の実験でウイルスの活性を抑えることが分かっており、有望な治療薬候補として複数の臨床試験が進められてきた。

しかし、アメリカ国立アレルギー・感染症研究所が資金を提供した10か国の国際共同治験(日本も参加している)1053名の患者をレムデシビル投与群とコントロール群の2つに分けた臨床経過を比較したところ、人種別では、白人では有意な効果があったが、黒人では効果は少なく、アジア人では効果が認められなかった。この論文は山中伸弥教授が紹介されている。

まだまだ研究途上の話であるので速断は慎まなければならないが、明日にでも日本で治療薬として有効になるかのような報道には疑問符をつけておいた方がよさそうだ。
効果があればアメリカ製でもドイツ製でも中国製でも構わないが、安倍内閣はトランプに言われたら科学的知見を踏み外して追従するから冷静に情報を読み解いていく必要がある。

  目覚ましは鶯に代わりて鳬の声

レムデシビルのことではないが、コロナ対策の現状について、下記の神戸大学感染症内科教授岩田健太郎氏の話は大いに参考になる。
https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-kentaro-iwata-2?fbclid=IwAR0_9r7bJvRUwvESiVgE1lON0iaRhf1tzEe7dwwUWUTCZyJBAKam4CElTPE

3 件のコメント:

  1.  アビガンが妊婦や胎児に与える副作用などで慎重に検討されていることに比べて、レムデシビルの三日承認は不思議です。
     新自由主義とか言って病院や診療費を削り続けてきた安倍内閣が、GMなどで造りすぎて困った人工呼吸器を「予備があるに越したことはない」とまず1000台購入するとトランプに約束した。
     安倍政治のすべての基準はトランプと日本の自動車産業のご機嫌とりにかかっている。

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  2. 何を言っても通じない安倍晋三、国民の生活痛みなど全然理解できない、人としての心をひとかけらももちあわせていない。こんな男が首相とは情けない。抗うにも忍耐力が必要。気力が萎える。何もしていないのに。他国のように軍事費を国民を救うために使え!いくら叫んでも届かない。��

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  3.  ツイッターデモという言葉が沸きあがってきたように、ケンタさんのSNSでのつぶやきが波紋のように広がって一翼を担っていることに自信をお持ちください。

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