2019年10月30日水曜日

戦闘機より怖いステマ

   殿村美樹著『ブームをつくる』(集英社新書)を読み直した。その理由はあとで述べる。
 自称PRプロデユーサーの著者は阪神・淡路大震災の体験から、世間一般のPRプランナー、PRコンサルタントではなく「PRを通じて文化をつくる」を目指してきた。
 うどん県、今年の漢字、ひこにゃん等はそうして生まれてきたらしい。
 「メッセージの伝え方」に腐心している私には参考になることも多かった。

 それはともかく、世の中には客観的・公平に見えて実は誘導されていたという「隠れたPR」がある。ステルス戦闘機のように。

 思いつくままにピックアップすると、スポーツ紙の「美味しい店」の記事が実は「何円払えば載せてやる」というものであったりする。
 テレビの情報番組の中の「お店の紹介」コーナーが、視聴者は情報だと思って観ているが実はCM枠というものだということがある。
 選挙時に雑誌の車内つり広告で政権賛美を氾濫させた雑誌が、発行部数×本代からしてあり得ない広告料だということもある(広告の形を偽装した選挙運動)。
 自民党がネット対策室をつくって意図的にSNSを発信したこともある。
 いわゆる嫌韓ヘイトスピーチのSNSも同じ固有名詞の間違いがいくつも発信されたように、同じマニュアルでアルバイトか何かで組織的に発信されたと思われる例もある。
 「ニッポンすごい」というテレビ番組の奥にはクールジャパン機構という政府肝いりの組織が隠れている。
 政権トップとメディアが会食し、記者クラブ外のメディアは排除され、勇敢な女性記者を権力者が見せしめのように攻撃する。
 かくして政治上の重要事項があっても、芸能人のスキャンダルやスポーツ記事で埋め尽くされる。

 茹で蛙は茹でられていることも知らず、2019年報道の自由度ランキング67位という驚くべき結果に驚くことさえ去勢されている。何という後進国だ。
 で、こんな記事を書いてみたいと思ったのは、京都市の広報が同様に胡散臭いからである。

 京都市は吉本興業と契約し、京都出身の漫才コンビ「ミキ」に京都市の意向に沿ったツイートを2回すれば100万円(4回発信したので200万円?)という内容を含む契約を結び履行したらしい。
 こういうのを、ステルス戦闘機ならぬステルスマーケティング(ステマ)と呼ぶらしい。
 胡散臭い健康食品の通販の方が「広告です」と名乗っているだけましではないか。

1 件のコメント:

  1.  写真の新聞記事は29日朝日朝刊だが、30日にも「京都市の伝統産業イベントのツイートにも1件50万円」「計5組」と報じられている。
     大阪市も吉本興業と多額の契約を結んでいるが、選挙の折には直接金品の受理が仮になかったとしても、吉本の芸人が維新の選挙の客寄せパンダになっているのには疑問が湧く。

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