2019年10月31日木曜日

続 片す 考

 10月24日の『知らないことばかり』の記事で「片すはほんとうに大阪弁か」と書いてみたが、「使っていたよ」という情報は得られず、嬉しいような悲しいような・・・。
 コメント欄に書いたが、結構な量の辞典や日本語に関する本を読んだが、コメントに書いた以上のことは解らなかった。

   ところが灯台下暗しの言葉があるように、書架にはもう一つ真田信治著『方言の日本地図』(講談社+α新書)が残っていて、そこには「カタスの消長」という章まであった。
 以下、骨子を引用する。
 「片づける」ことをカタスと言うのは関東とその周辺部です。
 カタスはこの地域での伝統的方言形と言えるものです。
 東京都の若年層を調べた結果、カタスはまだ勢力を維持しています。そしてその使用者の多くはカタスを東京のことばと意識しているようです。
 千葉県松戸市では老年層が松戸方言のカタスの使用率が低下していますが、若年層では東京語たるカタスが増加する傾向が見て取れます。
 東京での俗語はあくまでもプレステージ(威信・名声)を持っているわけです。(引用おわり)

 以上のとおり、著者は迷いもなく「カタスは関東弁」と書いている。
 結局、『大阪ことば事典』を編んだ牧村史陽氏は明治31年生まれで『大阪ことば事典』は初版が1979年(昭和54)。スカーレットの荒木荘の女主人も明治生まれで舞台は今昭和30年。
 大阪船場に育った父や親戚が存命だったら確かめられただろうが、今は「昭和40年ごろまで大阪で使われていた言葉」ということにしておこう。

0 件のコメント:

コメントを投稿