わが家の信楽焼 |
「ボキャブラリーが貧弱だ」と嘲笑われてきた私が言うのもナンだが、大阪が舞台の台詞にそれはないんちゃう、という感じだ。
妻に話すと「東京に転勤していたときに知った東京弁で、朝ドラのそれは私にも違和感がある」という。
それにしても、タイトルのときに「近江弁指導」と「大阪弁指導」がわざわざついているのにおかしなことだ。
ただ広辞苑には「東京地方の方言」とは断っていなかった。
そこで念のために『ないことを確認するために』牧村史陽編『大阪ことば事典』を開けてみると、ナント、「片付ける。移動する。(例)ちょっとこれカタシといてんか」があるではないか。「大阪弁指導」は間違っていなかったのだ。
とすると、やはり私がモノ知らずであったか、あるいは大阪において急速に衰退した言葉であるかである。
関西地方のお方(かた)で、「今も使っているよ」「何年ごろまでは使っていた」ということをご存知のお方は教えてほしい。
「ヨシモトの大阪弁は大阪弁と違う」というぐらい言っていた私だが、こんな足下の言葉を知らなんだことにショックを受けている。
話は変わるが、奈良文化財研究所や橿原考古学研究所の講演を聞く機会があるが、近畿以外の出身の先生方が赴任されて発掘調査を始めたときに、「こんな状態ですけどこの先どうしましょ」と言われて「もう少し掘っといて」と指示しておいたところ作業が進まず、結局作業員は「放っといて」と理解していたという話がある。
老人ホームで入居者に「ご不浄に連れて行って」と言われて若い関西外出身のヘルパーが「ご不浄」が解らなかったという話も直接聞いたこともある。
さて今後どうするか。一番手っ取り早いことは上方落語の古典を応援することのようだが、「言葉は生き物」だから、大阪ことば事典に「昔の関西弁」とそのうちに書かれるのだろうか。
台詞からは、片付けて!の意味だが、それなら、しもといて!か、なおしといて!のような気がしてなりません。
返信削除前田勇著『大阪弁』(朝日選書80)で著者は、大正時代が舞台の水上滝太郎の小説『大阪』について問題が多すぎると指摘している箇所があり、その中に「此の腹の中にしまっとくわ」について「なおしとく・おさめとく」がふさわしいと言っている。「しまう」という単語そのものが東京語だと指摘している。大正時代のこととはいえ、これにはええ~っと驚いている。
返信削除次にドラマ等の大阪弁指導の第一人者であった大原穣子著『好きやねん大阪弁』(新日本出版社)で著者は、台詞の箇所ではなく私生活を書いた箇所で北海道出身の義母に対して「すみません、脱いだ服なおしといてください」と言って通じなかったことを書いている。
「片して」について論じてはいないが、どちらも「片して」はかすりもしていない。