2019年10月5日土曜日

巧言令色

 在版テレビ局のニュースでは、関電の筆頭株主である大阪市の松井市長が関電幹部の辞任を求めて発言しているシーンが繰り返されている。
 それは何も珍しいことではなく、同じ論調では経産大臣も強く?関電幹部に怒っている。
 私はそれらは、市長や大臣が社会正義のために怒っているというよりは、原発ムラの構造そのものに追及が及ぶのを避けるため、口の無くなった死人にすべてを押し付け、どちらかというと関電幹部を脅された被害者にすり替え、早々に幕を引かせたいという舞台上の演技に見える。
 
『前衛』1982年8月号(ネットにあった)
   週刊誌やネット上の少し違う論調としては、この事件の本質を「同和問題だ」という主張があり、これも結局は原発ムラの構造問題から目をそらす役割を担っているように思う。

 ただ、1970年代頃などの部落解放同盟の言葉尻をとらえた糾弾という名の暴力行為や、窓口一本化などでそれを野放図に放置乃至加担した当時の関西の数々の同和行政を想起するとき、最悪の形で原発政策と歪んだ同和問題が結合した典型を見るのは間違っていない。
 ではあるが、より今日的テーマは、そのような地域の大ボスを使って地域を黙らせて推進した原発政策の実態を明らかにさせることだろう。
 地元は同意したのでなく、恐ろしい圧力で「同意(沈黙)」させられたのである。
 それらの主犯は関電幹部で、「鉄砲玉」が元助役だった。

 元助役の「恐ろしさ」の源泉は解放同盟の糾弾だけでなく、有力政治家との結びつきにあっただろうことは容易に想像できる。関西圏で歪んだ同和行政が跋扈したときもそうだった。
 今回も、稲田朋美氏が政治献金を受けていたことなどが暴露され始めている。稲田氏は森山氏とは面識がなかったと言ったそうだが、稲田氏は森友の裁判に出廷した記録を突き付けられて最後に認めたが、当初は籠池氏とは面識がないと言った事実がある。

 大切なことは名の上がった関電幹部の首のすげ替えだけではない。
 こんな隠蔽や虚偽発言を重ねる面々の語る「安全神話」の嘘を明らかにして、そういうまともな世論で原発の無い安全な日本列島にすることであろう。
 
 あの時代の解放同盟の暴力的な糾弾や、常識のはるかに及ばない同和行政の歪みを思い出し、そして大きくない村で縦横斜めに張り巡らされたボス支配を想像するとき、その種の団体の圧力や金品に全く無縁で勇気ある日本共産党を大きくすることが、この国の民主主義と平和と安全にとって一番の重要事項だと改めて思っている。

3 件のコメント:

  1. 同感です。いよいよ始まった国会でどこまて追い込むことができるか、市民と野党の質の高い共闘が求められますね。メディアにも当たり障りのない報道でなく本質に迫る報道を求めたいものです。

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  2. ケンタさん、同感です。あまり歪んだ同和問題に触れると、原発問題の本質が解りにくくなるという指摘があるかも知れませんが、事実ははっきり見ておく必要があると思っています。

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  3. 私も同感です。ただし、会長はじめ辞任しない面々の言い草「先頭に立って膿を出し切る」は全然信用できません。辞めたから終わりではなく、責任は最後まで「国民」が追求するべきです。森友問題のように息長く追及の手を緩めてはいけません。でも彼等は即刻退陣すべきです。これはトカゲの尻尾切ではなくトカゲの頭を叩き潰すための第一歩だと思います。

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