2019年10月6日日曜日

女神か蟇蛙か

 香港政府行政長官のイングリッシュネームはキャリー・ラムだが本名は林鄭月娥(りんていげつが)ということで、9月14日のお月見の記事で私は、「古い中国の神話では月の女神は嫦娥(じょうが)であるから、月娥氏の親はきっと月の女神のようになってほしいと名付けたのだろうが、嫦娥は、夫が西王母からもらい受けた不死身の薬を盗んで飲んで月に逃げたため、挙句ヒキガエルにされてしまったのだから、親はそこのところをどう考えて付けたのだろう」と書いた。

    で、その月の女神かヒキガエルかの林鄭月娥長官は10月4日、議会の審議を経ることなく緊急状況規則条例(緊急法)を発動した。マスク等禁止法である。
 また現場では警官が実弾やゴム弾を発射し、高校生や記者等が重傷を負っている。
 デモの暴徒化が理由とされているが、ネットには権力派・本土派マフィアや公安スパイ等が権力の介入を容易にするために紛れ込んで挑発している動画もある。
 
 さて今日私が言いたいことは、緊急状況規則条例(緊急法)のことである。香港の現状を見るまでもなく、それは独裁国家、警察国家の大黒柱である。そしてそれは、遠い大陸の話(全く遠くもないが)ではなく、日本列島の話である。

 日本国憲法第99条には「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とあるにもかかわらず、安倍首相は4日の第200回国会所信表明を、憲法審議会で憲法を議論すべきとの趣旨で演説を締めた。
 その自民党改憲案には「第九章 緊急事態」が新設され、あらゆる民主主義的手続きを停止し、内閣総理大臣が思うがままに国民を縛ることのできる緊急事態宣言、いわゆる緊急事態法が盛り込まれている。
 世界史的には、ナチスが政権を率いたときの根拠法である。

 香港の事態を世間話で終わらせてはならない。
 安倍首相の理想は林鄭月娥氏が発動した緊急法だということを私は言いたい。

2 件のコメント:

  1. 香港の青年たちの行動力には感心させられます。おっしゃるとおりです。安倍首相の所信表明演説にはぞっとします。恐ろしい未来を想像してしまいます。いっていることとやっていることのあまりの違いに唖然としてしまいます。早く退陣に追い込まなくては!との思いがつのります。

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  2.  自民党の改憲案は香港の警察のように市民に実弾を発射する国を目指したものです。
     今の日本はそれなりの法治国家です。大規模災害があろうとも、緊急事態法がなくても各種法律で対応可能です。
     各地の災害に対する対応が不十分なのは、安倍政権や都道府県知事部局の恐るべき怠慢以外の何ものでもありません。
     緊急事態法を含む改憲論議やその前提となる国民投票法の議論は全く不要だし危険です。

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