2019年10月16日水曜日

そもそもと問われると

   台風19号の大災害があったが、その社会的・政治的問題はひとまず置く。テーマは気象というか物理の話である。
 さて、この1週間は誰もが台風情報を注視した。そして台風が左(反時計)回りの渦であることは誰も疑っていない。
 しかし、なぜ北半球の台風は左回りなのかと尋ねられるといったいどれくらい説明できるだろうか。実際、妻からそう尋ねられて私は一瞬言い淀んだ。

 ネットで検索すると山ほど質問があって山ほど解答が掲載されている。が、どれも専門的過ぎてなかなか解り辛い。難しい言葉で語りたがるのは先生方の悪い癖だろう。それを読んで「コリオリの力」なども教えてもらったことは間違いないが・・。
 そこで、私ならどう語ろうかと考えた。複雑な自然現象を単純化するのは危険性もあるが、子供電話相談風に私なりにまとめてみた。(間違っているかもしれないので、ご指摘を乞う)

 
 さて、地球は丸く、かつ西から東に向いて回転(自転)しているので、その上にいるモノは東向きの列車に乗っているようなものだ。
 北半球でいえば、緯度(北緯)の低い・赤道に近い・南の列車は高速で走っており、それよりも北の列車は中速で走っており、さらに北の列車は低速で走っているようなものだ。球体だから。
 その列車に乗っているモノ(人間なら人間)は、気がついていなくても同じスピードの力で(を持って)走っているのと同じだ。

 そこで中速の列車の上で高気圧が発生したとする。これには中速の力が働いていて、その中心から重い空気が四方に流れ出ている。
 中速の列車から北へ向かった空気(風)は、中速の列車から低速の列車に飛び移ったようなものだから、列車が急ブレーキをかけたときの乗客のように、前へ・東へ・吹き出しの方向(北)に対して右へ、倒れる(右へ進む)。慣性の法則ということでいいのだろう。

 中速の列車から南へ向かった空気(風)は、中速の列車から高速の列車に飛び移ったようなものだから、列車が急加速したときの乗客のように、後ろへ・西へ・吹き出し方向(南)に対してこれも右へ、倒れる(右へ進む)。
 細かい摩擦や抵抗などなどを無視して考えると、このように、北半球上の流体(気体や液体)は、少し大きな範囲で南北に流れる場合には、右に進む力を受ける。
 よって、高気圧からの風は右回り(時計回り)で噴き出す。

 次いで、高気圧からの風は低気圧に向かい、低気圧の中心に生じている上昇気流で上に逃げていく。
 北半球の流体が南北に移動する場合右向きに進む理屈は同じだが、高気圧の話は中心から噴き出す方向であったものが、低気圧の場合は中心へ吸い込まれる方向としてとらえる必要がある。ここが一つのポイントだ。

 北から南に吸い込まれる場合、北の低速列車(の中央)から中速列車(の中央:ここを低気圧の中心と考える)に飛び移る場合を想定すると、後ろから追いついてくる中速列車の少し前方・東側で低速列車から飛び出す必要がある。そうでないと中心に到達できない。
 この北の空気は中速列車の持っている空気に対してブレーキのかかった状態なのでその力は云わば西向きということになる。

 南から北に吸い込まれる場合、南の高速列車(の中央)から中速列車(の中央)に飛び移る場合は、前を走っていた中速列車の少し後方・西側で高速列車から飛び出す必要がある。
 南からの空気は相対的に強い(つまり東向き・前向きの)力を持っているからである。
 低気圧はそのように、低気圧の北側では東風が、南側では西風が吹いて左回り(反時計方向)に風が吹く。

 もっと単純に言えば、高気圧と低気圧は正反対に働いてバランスが取れているから、高気圧から流れ出る風の向きと正反対に、矢印の頭をひっくり返すように、低気圧は左回りに回っている。
 こんなんではどうだろう。単純すぎるだろうか。

5 件のコメント:

  1.  こんな話、面白くはないですか。貴方なら孫や甥や姪に尋ねられたらどのように説明されますか?

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  2.  真面目な話、物理は苦手ですが、私的理解の程度は「洗面台の排水が左巻きに吸い込まれていく」と同じと考えていいのでしょうか?そもそも私たちが北半球に住んでいることさえ自覚してませんでしたから。

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  3.  私の理解の範囲では、この「力」は一定の時間と空間のスケールで観ることができるとされています。洗面台では容器の大きさが小さすぎて、かつ水流の速さは速すぎて、この「力(コリオリの力というらしい)」が効かないということです。よって「洗面台の排水が北半球では左巻き」というのは偶然や洗面台の造り(傾斜等)によるもので、一種の都市伝説だと言われています。
     だいたい洗面台の左右奥行きでは緯度は全く問題になりませんから、私の例えの東向きの3つの列車は互いに少なくとも1キロメートルは離れているとお考えください。この3つの列車の始発駅と終着駅は3つとも経度は一緒です。そのため、低速、中速、高速であるわけです。
     私は全くと言っていいほど物理の理論を使わずに、どちらかというと経験値である感覚で解いてみたいと考えました。

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  4.  ひげ親父さん、ネット上には数多くの解答が載っていますが如何でしたでしょう。私には理解し辛い解答が多くて困ります。円盤を使って説明しているものも少なくありませんが難しいです。
     

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  5.  この記事は結構自分で気に入っている。自然科学の世界なので間違っているかもしれないが、その場合は訂正していけばよい。
     世の中には複雑で解り難いことがある。解り難いが考える必要がある。考えて考えて自分なりに理解できたときはホッとする(解らないまま放っておくと気分が悪い)。
     自分なりに理解できたことは難しいままでなく解りやすく整理したい。その作業が「書く」という作業になる。それがメッセージの伝え方のトレーニングになる。
     偉そうなことを言ったが、「じゃまくさい」と思ったら人間終わりだと思っている。

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