2024年3月14日木曜日

神々のルーツ

   6年半ほど前、2017年の秋に退職者会の遠足で西宮神社に行った折、神職から 三連春日造りの本殿について説明を受けたが、それは「東に蛭児(えびす)大神、西に須佐之男大神、中央に天照皇大神と大国主大神がまつられていますが、その昔は蛭児大神が中央でしたが、いつの間にか東に移りました」という不思議な説明だった。

 帰宅してから昭和4年出版の『年中事物考』という本を開いてみると、「古く延喜式に大國主西神社と見え、夷宮はもと西神社の配祀であったが、その社が次第に有名になったので、いつの間にか之を主神として専ら夷宮と申すに至った」とあった。つまり、昭和初期までは天照皇大神は特筆されていなかった。
 となると、昭和15年、紀元2600年頃の皇国史観絶頂期に蛭児大神は東に移され、中央に天照皇大神が据えられたのではないだろうかと私は思う。

 このように古い歴史と伝統のようにに見えるものも、後の為政者たちによって大いに「修正」を加えられていることが多いということになる。

 そういう「歴史の修正」に注意しつつも、どの町でどんな神様が祀られているかというのは、為政者の編纂した公的な歴史書にはないこの国の歴史をあぶりだしてくれる。

 豊富な写真で紐解いてくれるこの本は、気楽に読み進めながらそんな欠片を教えてくれる楽しい本である。
 片岡伸行著『神々のルーツ 「祈りの場」から見た古代日本』新日本出版社

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