2022年10月24日月曜日

奈良漬はお好き?

   先日テレビのケンミンショーで”味噌おにぎり”を取り上げていて、主に西日本の人たちが「わあ、味噌を生で食べるなんて」と言っていたが、私は金山寺味噌や蕗味噌など”食べる味噌”も嫌いでないから、関西人全てが生味噌を拒絶しているわけではない。
 そういうことで、この番組は100%娯楽番組だと思って怒らずに楽しく見ている。

 おにぎりの外側に味噌を塗って食べるのは指が汚れるという難点はあるが、オハギやアンコロ餅の例もある。ピザやハンバーガーやフライドチキンもそうだ。
 つまり、番組の味噌おにぎりに私自身は飛びつきはしないが、”それもアリ”だと私は思っている。

 この番組では、「このように食べているのはこの県だけです」というアナウンサーに県民が「ええっ!」と驚くのは愉快だが、料理や味には大いに風土があって良い。半分負けず嫌いでも県民が「こんな美味しいものを知らないなんて」と切り返すのは正しい。
 味噌おにぎりに顔をしかめる大阪人は紅生姜の天ぷらを笑われているのを知らない。他県人は概ね顔をしかめている。

 さて、孫の夏ちゃんは私の作った”だし巻き卵”を「祖父ちゃんのは甘くない」と低評価なのだが、私は絶対に砂糖やみりんで甘くはしない。
 だし巻き卵に砂糖を加えるかどうかは天下を二分する見解であり、多数決や法律で決めるべきものではない。結婚してスタートした家庭がどの味を承継するかどうかは自由だ。私は入れない。

 だから、味や料理に正しいとか正しくないとかはないのだが、できれば先入観や予断で語らず、自分の舌で判断すればよい。
 付け加えれば、テレビのタレントなどが滅多矢鱈に「あま~~い」と言って食材を誉めるのには辟易している。テレビのこっちで波平さんばりに「ばっかも~~ん」と叫んでいる。

 そこでようやく本題だが、奈良漬のことである。
 先日妻が今西本店で奈良漬を買ってきたが、店では「これは辛いですよ」「黒いですよ」と、「それでも食べますか」的に念を押されたと、面白く語っていた。

 この店のは3年以上かけて清酒の粕だけで6回以上漬け替えた「純正」である。
 袋の説明書きにも、「味をきつく感じられたなら洗って切って3~5日間冷蔵庫で冷やせ」と蛇足があった。
 それほど説明が必要なのは、今日販売流通している奈良漬けの99.99%が現代風に”甘く”アレンジされたものだからである。伝統どおりの純正無添加派の方が弁解めいた説明をしているという、この”話の転倒ぶり”もすこぶる可笑しい。

 賞味期限は2年先まである。私は非常に好んでいる。
 一般の奈良漬を「甘すぎる」と批判のお方には一度「添加物ゼロ」のほんまもんの奈良漬をお勧めする。
 料理や食材のアレンジというか進化の全てを否定しているわけではないが、上三条通の今西本店。伝統を頑固に守り通している根性が良い。

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