2022年6月19日日曜日

愛国の経済学

   昔、某テレビの番組で、自称愛国派の右翼の論客がひな壇に並ぶ中、日本共産党の小池書記局長が経済の話をして「大企業は応分の税負担をすべきだ」「労働者の賃金の引き上げに応じるべきだ」と語った折、ひな壇から雨あられのように「そんなことをしたら大企業は外国へ出ていく」との非難の言葉が降り注いだが、そのとき小池氏ひとつも慌てず、「大企業には愛国心がないのですか」と切り返し、ひな壇の面々が絶句して照れ笑いをするだけだったのは愉快だった。・・・ただ笑えないことは、大企業の売国的態度はその後現実のものとなったことだった。

 IMDというスイスのシンクタンクが発表している経済の競争力ランキングを見ると、日本は1991年には世界第1位であったが、2022年には34位にまで滑り落ちている。
 日本、アメリカ、EUの2001年から2020年の間の平均GDP成長率を見ると、名目では日本0.06%。アメリカ3.65%、EU2.59%で、実質GDPは日本0.46%、アメリカ1.73%、EU0.98%と、ここでも日本経済の停滞は明らかである。
 半導体産業やテレビ製造産業は1980年代には世界一のシェアを誇っていたが、いまや韓国や中国の企業に圧倒されている。
 自公政権が異常な肩入れを行ってきた自動車産業でも、いまや未来のスタンダードとなる電気自動車(EV)の生産・販売台数はアメリカや中国に大きく水をあけられている。

 そこにはいろんな原因があるが、看過できないひとつの事実をあげると、特に2000年代以降多くの大企業が目先の利益確保に走ってリストラを強行し、その結果、多くの日本の研究者・技術者が韓国、台湾、中国の企業に海を渡ったことがあげられる。
 日経新聞(2019年10月7日)は、2000年代半ばには数千人の日本人技術者が中国にいたと報じている。韓国のサムソングループ、中国のファーウェイグループのヘッドハンティングは有名だった。

 それは自公政権と経団連の経済戦略の失敗であるだけでなく、目先のマネーゲームで利益を確保し内部留保増やしに走った精神の荒廃、そして経済問題への無知ともいえる無策の結果であった。

 論争に悪口に似た物言いを使用するのはあまり好きではないが、事実このブログでも矜持として使用はしてこなかったが、同志社大学(院)の浜矩子教授がアベノミクスの出鱈目さを「アホノミクス」と名付けていたのは、ある意味的を射ていた。
 口汚く韓国、中国をけなしていたアベ政治が、大企業の目先の利益のお先棒を担いで、理論や学問、そして学者研究者の意見を毛嫌いして、結局全く無知、無策であったため、今日の経済崩壊を生んだわけである。

 さて、日本共産党の大門実紀史参議院議員は、「日本共産党は経済成長不要論は採らない」「社会保障の充実のためにも一定の経済成長は必要だ」「そのためには大失敗のアベノミクス。新自由主義の克服が一番肝心だが、岸田首相もそこへは踏み出さない」と指摘している。
 巷には、平和や民主主義の課題で日本共産党の主張に共鳴しても、雇用・収入に直結する経済政策では自民党政治から離陸することに逡巡している人々もいるように私は感じている。

 しかし以上のとおり、この間の日本の新自由主義・アベノミクスは、資本主義社会の中でも最低の劣等生だった。紙面の都合で割愛するが、異常な円安も同じことである。
 内部留保に必要な課税を行って賃金引き上げを誘導する。年金の引き下げをストップして消費税を減税する。そうして経済の循環を高めて経済も成長させる。
 正規雇用を増やし賃金を引き上げ経済を成長させる。資本主義経済でも「経済問題は日本共産党」の時代になっている。

2 件のコメント:

  1. 一昨日開催された大門みきしさんが語る「やさしく強い経済学」緊急学習・各界懇談会をユーチューブで視聴し、そして本日の貴殿のブログを拝見し、読了にむけての手助けとなり援護射撃となりました。(ケンタ)

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  2. 私は経済については苦手です。コメントなどでどうか教えてください。頑張って付いて行きます。

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