モリカケ事件などを通して官僚制度の劣化が様々語られている昨今、出先の一公務員が仕事の中でどんな風に悩み行動したか、後輩の皆さんも心がけておいてほしいことは何かについて、思い出したことについて少しだけ書いておく。(それほど大層なものではない)
あの日、倒れたり無茶苦茶に移動したロッカーや机の整理をしていると、出先から電話があり、ガスや電気関係の工事業者(大阪本社や大阪支店)が非常招集を受けて神戸に向かう。向こうで怪我をしたら労災になるかと聞かれている。・・と問い合わせがあった。
純粋な意味でのボランティアなら労働関係の範疇を超えるが、労働者は事業主の命令に従って出向くようだ。ただし、詳しいことは何もわからない。行先、作業の発注者、作業内容、請負金額、そもそも請負金額が貰えるのかどうか、何もかも不明のまま労働者は神戸に向かう。
そも天災地変は制度の外として業務起因性なしとのある種の原則もある。
補償部門の専門家に問い合わせるも、「話は請求書が出てきてからだ」と取り合ってくれない。が、私の担当部門は保険関係の成立だからそんな回答では済まない。そもそも成立届や開始届に書くべき内容がすべて不明である。そして肝心の兵庫とは電話が全く通じない。霞が関とは偶に行政電話(そういう回線があった)が通じるだけだが、この切迫感は通じない。
結局、どんな議論を重ねたか忘れたが、① 事業主の命令で労働する場合は労災の範疇だ。② 成立届、開始届はとりあえず書ける内容と状況を書くこと。③ 兵庫に提出できない書類は大阪で受け付け印を押して預かる。というような内容を霞が関にも了解してもらって回答した。
こんな非常事態の対応は条文その他の文章のどこにもないことだ。だから、厳密にいえば兵庫の書類を大阪で受け付けるという法的根拠もない。しかし、それを答えないとしたら、誠実に会社で指揮命令する人も、何よりも現地に出かける人も安心して作業に向かえない。
労働行政はリアルな上にもリアルな行政でないか。根拠のない回答や指導をしたといって文句があるなら受けて立つ。そんな決意で対応した。それが17日1日の戦場のような私の行動だった。
その後、次々と経験したことのない難題が降りかかってきたが、今になってみれば何十年分の勉強をさせてもらった。そんなこともあり、卒業したときには、けっこうやりがいのある職業生活だったと納得した。
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