国家(造東大寺司)により進められたこの工事は、予算も比較的少なくかつ短期間で仕上げられている。
故に、勞劇帳とは工人たちの激務(勞劇)手当のための勤怠帳なのだが、奈良時代の国家はなかなかやるなと私は思った。
昨年を考えると、コロナ禍でリモートワークだとか時差出勤だとか言われながらも、医療従事者や公務員や運送その他のエッセンシャルワーカーは感染の危険を抱えて通常以上の出退勤や対人業務を継続した。
賃金の影響力でいうとその存在が非常に大きい国家公務員に対する人事院勧告は、コロナ禍で一時金が減額された企業が多いとして、公務員の一時金削減の勧告を行い、政府は実施時期をずらしながらも基本的にそれを実行することを決めた。
そもそもは公務員と雖も憲法でいう労働者にほかならない以上労働基本権の制約は不当であるが、それを償う制度的担保たる「官民比較」は「平時」でこそ通用する理屈であろう。奈良時代なら一時金の減額ではなく「勞劇手当」の上乗せがあったことだろう。
エッセンシャルワーカーにはその過重労働と危険手当に相当する賃金を補償し、コロナ禍で支払い能力に困難が生じている企業、産業には然るべき手当を補償するのが筋ではないか。
現職の労働者は経験として実感がないかもしれないが、少し似かよった問題としては田中角栄内閣の当時、労働者はインフレ手当の要求を掲げ、ほとんどの産業、企業で、これまで制度として想定されていなかったインフレ手当を勝ち取った歴史がある。
エッセンシャルワーカーには勞劇(危険・激務)手当に相当する賃金を! コロナ禍による解雇及び減収を受けた労働者には国の責任で雇用と賃金の補償を!
そのように前を向かないと、結局消費(購買力)が低迷してしまう。
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