秋の日、当尾(とおの)の郷を散策した。
道端にフジバカマが普通に生えていて蝶が止まっていた。「ヒョウモンチョウかな」とスマホで撮ったら、翅の裏が木葉そっくりだった。キタテハだと思う。 ヒョウモンチョウは裏も豹紋だしコノハチョウは表が豹紋でないから、キタテハチョウだと思う。フジバカマはかつていろんな種類を庭に植えてアサギマダラを呼んでいたが、妻がアレルギーを発症して全株抜いて捨ててしまった。近所の人と「アサギマダラの来る街にしましょうか」などと構想していたがやむを得ない。
フジバカマは有毒なのだが結構いろんな種類の蝶が蜜を吸いに来る。毒食らわば皿までなどという言葉があるが、毒食う蝶のメカニズムも判ったようで判らない。
当尾では、昔は無農薬らしいキャベツ畑があってモンシロチョウが群舞していた思い出があるが、今やモンシロチョウは希少種になったようだ。蝶は相当な偏食家(食草が偏っている)なので、モンシロチョウは激減し、パンジーなどスミレ類が好きなヒョウモンチョウが増えている。
浄瑠璃寺から岩船寺に向かうハイキングコースでルリコガネを見つけた。オオセンチコガネつまり糞虫だが美しい。瑠璃色(るりいろ)とは、濃い紫みの鮮やかな青色のことで、瑠璃とは仏教世界の中心にそびえ立つ須弥山(しゅみさん)で産出される宝石で仏教の七宝の一つ。その宝石の色にちなんだ瑠璃色も至上の色として神聖視されたのだが、その名が糞虫についているのも、ある種仏教的だと私は思っている。瑠璃色のオオセンチコガネは奈良近辺だけらしく、他の地域では緑や赤銅色などが多い(屋久島、大分にはいる)。・・と『ふんコロ昆虫記』という本で読んだことがある。
当尾は平安京の文化というよりも南都の文化が色濃い地域だから、ルリコガネもいかにも南都の感じがした。
最後に、写真も音声もないのだが、秋10月の昼間、森の奥からニホンアマガエルの雨鳴き(レインコール)がよく聞こえてきた。ケケケケケケケケ、大きな声である。カジカガエルやヒグラシに似た、ちょっと哀愁を漂わせた声に、少し日常を離れた別世界を感じた。雨鳴きだったが雨は降らなかった。
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