2020年10月11日日曜日

経済の成長とは

   池田清彦著『自粛バカ』(宝島社新書)の中に、国家が国民を支配する話があり、「今なら誰もがもっている劣等感、あるいは国民の間に渦巻く不満なんかを政府が煽ってくる」として、グローバルキャピタリズムによる成長や繁栄から取り残されてしまったトランプ支持者のプアホワイトだとか、安倍支持のネトウヨ を挙げているが、現状の閉塞感の中で理屈抜きで「何か良くなりそう」という維新支持者もそうなんだろう。

 そういう層は池田氏によれば反知性主義というか知識人が嫌いだという特徴があると指摘している。だから阪南大学桜田照雄教授の次のような松井市長批判など真面目に読まないだろうが、大切なことなので転載しておく。

 〇 フェースブックに阪南大学桜田照雄教授が次のように投稿された。

 ◆ 松井氏によれば,「大阪の成長」ってのは,「イベントをやって消費を促すこと」なのだそうだ。一過性のイベントで経済を浮揚させるなんて答案に合格点はやれません。

 経済が成長するってのは・・・、生産された付加価値の量が何%増えたかを示すGDP成長率が代表的な指標となる。

 支出項目を「個人消費」「住宅投資」「民間設備投資」「在庫投資」などに分類し、これらの各項目の伸びを予測して、GDP成長率の予測値が算出される。

 算出された数値をもとにして、企業は経営計画を立案したり、政府や自治体は施策を考える。

 ◆ 松井や吉村のように、「法人市民税が増えた」とか、「イベントの開催で成長」という話しでは決してない。(引用おわり)

 〇 そこで私は、フェースブックのコメントなので少し会話のような感じで次のとおり投稿した。

 ◆ 一時期自治体の「〇〇博」というのが大流行りして最初は少しだけ上手くいきましたが圧倒的には大赤字を残して萎みました。維新の経済政策は悪夢の再現だと思います。

 〇 そうしたら、Tatsumi Yokoi さんから私のコメントへの「返信」のような形で次のような補足的なコメントをいただいた。

 ◆ そもそも愛知万博より狭い敷地に、愛知万博より遥かに多い入場者数という計画が無謀すぎます。狭い敷地にたくさんの入場者を入れたら当然3密です。

 ◆ 少なくとも現段階で、「カジノ業者に地下鉄建設費のうち200億円を負担させる」という目論見が実現不可能となっています。今のままでは市民、府民がこれを負担させられることになります。夢洲は場所的に「行き止まり」ですから、地下鉄は夢洲に用のある人しか利用せず、梅田やなんば、天王寺のような「乗り換え需要」は一切期待できません。

 ◆ 愛知万博は、トヨタという日本一の大企業がバックにいた事、ジブリの「サツキとメイの家」(となりのトトロ)などのユニークなコンテンツがあったことから奇跡的に成功したと言われています。しかし皮肉なことに、そのトヨタは、富士山麓に自前のWovenCityを建設し、ジブリは愛知万博跡地にジブリパークを建設するので、この両者が大阪万博に尽力することはありえません。(引用おわり)

 実は先日から、大阪の経済の実情や、どうしたら暮らしがよくなるかを考えてきたがSNSあたりではコンパクトに書けずにいた。桜田先生の指摘に従えば一部の数字で思いつきのような議論は避けなければならないから、づぼらやの廃業というのも単にインバウンドとコロナだけで論じるのも正確ではないだろう。

 維新や安倍内閣、それを引継ぐという菅内閣の経済政策は一言でいえば新自由主義である。新自由主義を一言でいえば弱肉強食で自助である。この政策が庶民の購買力を奪い大阪をはじめ日本の経済を思い切り劣化させてきたのは間違いない。新自由主義をやめて暮らしを守ろうの声が広がれば社会は変わるだろう。

 「カジノで成長」ほど時代遅れの政策はない。

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