2020年10月12日月曜日

インバウンド頼みは虚しい

   「コロナが去ったらインバウンドが復活して大阪の景気は復活する」と思っている人もいる。ホンキで言っているのか、知ったうえで嘘をついているのか知らないが、松井大阪市長などもそう言っている。しかし、ほんとうにそうだろうか。 

 日本政府観光局(JNTO)の統計をみると、2019年になって訪日観光客の伸び率が激減し、韓国、台湾、香港など訪日トップ5の常連がついに飽和状態となり、前年より減少する月が増えている。特に韓国は2017年夏頃から減少傾向にあり、今後もこの傾向は続くと考えられる。一方2桁の勢いで伸びているのは、ベトナムとロシアである。

 さらに、観光庁が2019329日に発表した「訪日外国人消費動向調査」によると、2018年のインバウンドの旅行消費額は45189億円、前年比で微増したものの、費目別でみると、トップは買い物15763億円だ。さらにその内訳で購買率の1位が「お菓子」の68.0%となり、2位、3位の「化粧品・香水」(41.6%)、「医薬品」(36.4%)を抜いて断トツで、韓国は「お菓子」が82.5%である。

 このように、買い物は前年比で減少(201716398億円)している。つまり、消費額の伸び悩みはもとより、訪日客は増えているのに、買い物総額が落ちているのだ。これはただの変調ではなく、今後もこの傾向が続くと考えられている。

 中国からのツアーなどを手がけている会社社長は、「中国から来るお客様は、以前流行った炊飯器など電化製品はほとんど買いません。高額な商品でなく、みやげ用の安価で小さい商品ばかり買います。それも数を大量に買います。たとえば、マスク類(肌にやさしい種類)、ハンドクリーム、スキンケアミルク(特に資生堂)、ステンレス製のボトルやカップ、セラミックナイフ、酒盃、歯ブラシ、各種薬品(龍角散、救心等)などがよく購入されています。人から頼まれて買って来てほしいと具体的な商品名をメモして来る方が多いです」と述べている。

 先日、本町から戎橋まで心斎橋筋を歩いたが、見事にドラッグストア街と化していた。外国人観光客が悪いと言わないが、ベースとして堅実な日本人観光客などが魅力を感じる街にする必要がある。そのカギは文化と食い倒れでも悪くはない。文化に無知というか毛嫌いする維新政治をストップして、上方文化を再興させたいものである。

 水かけ不動も浮かぬ顔に見えていた。

2 件のコメント:

  1.  私もインバウンド以前の黒門市場を知っており、そこはプロの料理人が通う鮮魚の商店街でした。素人の私たちがおいそれと冷やかすような店はありませんでした。
     それがいつの間にか外国人観光客が大勢、買い食いをする商店街になり下がっていました。最盛期にはバフンウニが1個6千円の値札が付いていました。
     こんなえげつない商売して、いずれ罰が当たるぞ、と思っていましたが新型コロナが根こそぎインバウンド景気をさらっていきました。今はシャッターを占めている店もありプロの料理人たちが戻っているのかもわかりません。
     インバウンド景気頼みだった松井・吉村の「大阪市をなくす」住民投票には絶対「反対」の投票をしましょう。

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  2.  ひげ親父さん、実見に基づいたコメントありがとうございます。インバウンドで儲けて悪いとは言いませんが、大事な商いの道を踏み外して街を劣化させていることを自覚、反省することも必要です。

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