2020年10月29日木曜日

それでも良識は進む

   別掲の内田樹先生の指摘は的を射ている。そしてそれは、維新の「府と市の主張が異なると不幸せ」というキャッチフレーズへの解答でもある。

 在阪のマスコミというかヨシモト所属のコメンテーターなどが盛んに「不幸せが解消されるんやったらええやん」と振りまいているが、市が府と異なった主張をすることはなにもおかしいことではない。それこそ地方自治の精神に沿ったものだ。

 「市が府に従わないのは生意気だ」ということこそ間違っている。近頃やたらに政治の場面でスピード感という言葉が踊っているが、決して会議を「踊」らせているだけでよいとは言わないが、この国は少し「調整する努力」を厭って怠ける精神に流れていないか。

 実際、地方自治の具体的な一つ一つは一筋縄ではいかないことも多い。当りまえである。なけなしの預金と借金でマイホームを建てたら突然隣に公害などを出す施設が建設されるとなると誰でも「ちょっと待ってくれ」となるに違いない。それを「大義名分に反対するエゴだ」と切って捨ててよいものか。内田先生の「調整する能力こそが民主主義」は本当に核心を突いている。

 稲森豊さんのフェースブックに「218億円見解は大阪市財政局のダイイングメッセージ(遺書)だ」という言葉があったが意味深長と理解した。

 松井市長らは「精査したものでない」との記者会見などをして、毎日新聞や朝日新聞を誤報だデマだという宣伝をしているが、それならどうして精査した数字を出さないのか。大阪市廃止・特別区設置案がコスト増、そこを抑えれば行政サービス切り下げになる数字が怖いから隠しているのでないか。大阪市職員は高い競争率をクリアして採用された人たちだ。そういう数字をはじき出すのに何の苦労もないはずだ。その数字が出されないのは出たら困る数字であるからだ。218億円か200億円か300億円かは知らず毎日、朝日の報道は基本的に正しい。

 言葉尻をとらえて卓袱台をひっくり返そうとするのはヤクザの常套手段でないか。

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