2022年11月7日月曜日

心の広さ

   「ラジオを聴いてて悲しくなったわ」と妻が言った。
 パーソナリティが愛犬を連れて旅行に出かけた際、ほかの旅行者に鳴き止まない犬がいて、「躾のできてない犬は連れてくるな」とコテンパンに怒っていたらしい。

 妻は、「そこまで一方的に言わなくてもよいだろう」「何か事情もあったのだろうと思いを巡らせても良くないか」と思ったという。
 そういえば、電車やバスで赤ちゃんの泣き声がうるさいと言っていじめに近い抗議を受けたというような話も少なくない。

 私の孫は生まれてすぐに心臓手術をしたりして、発達に数々の障害を持っている。そして、幸いというか、外見だけでは酷い障害があるようには見えない。
 だからお店で商品に直ぐに手を出そうとするし、他人から見ると奇声も発するし、ルール外とされている行動をとる。

 だから母親(つまり私たちの娘)も、「迷惑をかけるおそれのある」場所には連れて行ったりするのを徹底的に控えている。
 それでももし旅行に行ったりしたならば、ラジオパーソナリティ風に言えば、「こんな閑静な観光地に目障りな障害児を連れてくるな」となって良いのだろうか。

 日本では子どもに「人に迷惑をかけないように」と躾けるが、インドでは「人は迷惑をかけあって生きるものだから寛容でいなさい」と躾けるという話を聞いた。

 鳴き止まなかった犬にも、飼い主にも何か事情がなかっただろうか。パーソナリティの気持ちも良く分かるが、思いを巡らせるということについて、公共放送で一切の気配りの配慮もなく断定し、少数者を寄ってたかって叩くという風潮はいただけない。

2 件のコメント:

  1. 現役の時、旧国鉄今JRの電車に乗った。西淀川の駅から大阪(梅田)行だった。気候は初夏で汗ばむ季節が始まっていた。私の乗車の後に白杖を手にした視覚しょう害の方が盲導犬を連れて乗り込んできた。電車の中の込み具合はさほどではなかった。親切な方が「こちらへどうぞ」と席を譲ってくれた。感謝の気持ちで軽く会釈をして着席した。おりこうな犬はその前に「ビクター」のコマーシャルの形で座った。ほどなくして淀川を渡ったころ。その盲導犬は腹ばいになっていた。クーラーの効いた床はひんやりして気持ちよかったのだろう。その情景を見て周りの乗客はクスクスと・・・。感ずいたのか、飼い主が犬の名前を言ってたしなめた。するとまた「ビクター犬」になった。一般の犬の寿命にたいして盲導犬の寿命は短いらしい。自由気ままな行動は制限されてストレスも影響しているのか・・・。隣の車両から小学生(高学年)がヴァイオリンを背にかけて入ってきた。そして盲導犬を覗き込むようにしゃがんでいた。犬の頭をよしよしなでした。後で思ったのだが彼に練習曲を引いてくれへんかと言えばよかった。エルガーの「愛の挨拶」ならバッチリやなと。しかしそれは無茶ぶりもひどすぎるなぁと想った。

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  2.  暖かいコメントありがとうございました。

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