2021年4月26日月曜日

撤退する勇気

   4月25日の朝日歌壇で妻が一席にあげたのは佐佐木幸綱選『感動や勇気与えるなど言いて上から目線のアスリートたち(江別市)成田 強』だった。

 確かに、オリンピック自体は別にしても、聖火リレーやアスリートの声はテレビでは聖域扱いされている。愛媛県知事は聖火リレーを無観客にすることを泣いてテレビカメラに向かっていた。

 国や府県や企業や・・などなど自分に近い選手を応援する気持ちが悪いわけでないし、もちろん名勝負に感動を覚えることがおかしなことではない。しかし、そういう市民の純情につけ込む政治という一面が色濃く含まれていることを忘れてはならない。それらの批判を許さない同調圧力は危険でもある。

 妻はそういう現状に常々抱いていた違和感を見事に謳いあげた短歌に拍手喝采を送ったわけである。もちろん選者佐佐木幸綱氏も素晴らしい。

 この短歌は、そういう分厚い同調圧力に異議申立てをしたものだ。非常に的を射ている。スポーツの価値を尊重しないことなど全くないが、スポーツの世界も政治同様タテマエとホンネが深刻に入り混じっている。アマチュアなかんずく学校の運動クラブからしてそうである。それを明日すっぱりとせよとは言わないが、神聖不可侵ではなく議論や批判の対象であることはみんなが認め合わなければならない。

 私は、オリパラにしても万博にしても、莫大な予算を費消する国家行事にメディアが協賛などの形で参加することは危険だと考えている。

 戦前、商業新聞は戦意高揚を謳えば謳うほど部数が伸びたわけで、戦意高揚という強力な同調圧力の片棒を担いだメディアには非常に大きな責任、戦争責任があった。

 そんなことを思うとき、朝日新聞が社説で「五輪のために人の生命・健康を犠牲にすることはできない。当然の理である」と公言したことは重い。

 スポーツと括って良いのかどうか知らないが、登山家は頂上を目前にしても犠牲者が出ると判断した場合は撤退する勇気を持てと言われている。真の勇者は精神主義や金儲けとは相いれない。

 そういう勇気をスポーツマンシップと呼ぶならば、この時期に五輪組織委員会が看護協会に「看護師5日以上を500人」動員を要請した感覚を、「これでいいのか」と発する勇気こそスポーツマンシップではないのか。

5 件のコメント:

  1. 今オリンピックを開催できる状況ではないことは誰の目にも明らかである。日本のコロナ対策は破綻している。情報発信もでたらめ。ワクチン接種後の反応も隠され正直に情報開示されていない。政権の言うことやること何
    も信じられない!
    スポーツ大好きな私は純粋にスポーツを楽しみたい。利権がらみや政治がらみのスポーツなど観たくもない。オリンピックのあり方を真剣に見直すときにきていると強く思います。今日は長野、北海道、広島の選挙結果に元気をもらいましたが、投票率の低さにはがっかりしました。

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  2.  ケンタさん、コメントありがとうございます。名古屋の結果も残念でした。都市部での情報戦はますます重要な課題だと思います。民主主義を願う人々の中にあるITオンチを誇らしげに語る風潮はどうしたら克服できるのでしょうか。

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    1. 本日20時から新婦人あじさい班のオンライン学習会です。さて何人参加で、成功するか上手くいきますように祈るのみです。

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  3. 五輪委員会の看護師派遣要請の報道を見て、NHK大河で代官が栄一らに500両の金を調達するよう命令し、栄一が反発する場面を思い出しました。医療崩壊、ひっ迫が云われている最中にこんな要請をするなどとは、悪代官以上の所業だと思います。

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  4.  プロ野球は宣言下の球場では無観客にせよ。ただしテレビは放送せよ。東京へ人は来るな。しかしオリンピック関係者はは待期期間なしで入国せよ。・・・もう狂っているとしか言いようがありません。ジャーナリズムは提灯持ちの垂れ流し報道をするのでなく正気を取り戻せ。日本人は正気を取り戻せ。

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