東京は下町育ちの著者らしく、芥川龍之介の『河童』を読んだとき、これはカッパ合戦だと思ったというのであるが、上方の私としては初めて聞く話だった。
隅田川は仙台堀あたりに棲んでいた河童どもが、八代将軍に命ぜられた伊達藩が両国橋を架けたことを自慢して増長したところ、水戸屋敷のあった源兵衛堀河童が「何だ!」と戦争になり、最後は両国橋を38度線にして終戦になったという。・・・そして、「ところで、今は河童=カッパ合戦とは思っていない。河童は暗すぎる」と結んでいた。
本来ならここから『敗北の文学』に移るべきなのだろうが、休憩時間の読み物はそこまで深入りしていない。「戦争は決まって些細な原因から起こるものもので、河童は腹さえ減れば何でも食うから、資本家は戦地の食糧して石炭殻を送り大儲けするとかなり厳しい文明批評が記されている」と記するのみであった。
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