春秋戦国時代を新書で読んでしまおうというのは横着だとは解っているが、著者の渡邉義浩氏の造詣の深さを思い購入した。
渡邉義浩著『春秋戦国』洋泉社・歴史新書である。
思いはもう一つあって、魏書の「倭人伝」以前に何か倭に関する記述が出てこないものかという一縷の期待を抱いて読んだ。
(そんなものがあれば既に大々的に語られていただろうが)
もう少し付け加えれば、ミャオ族の神話伝承である「祖先は長江流域に住んでいた。しかし北からやって来た人々との戦争に負け祖先たちは首を斬られた。そのとき流れた血がフウの木について、だからフウの木は真っ赤に紅葉するのだ」を、・・・北(漢)から書いたものがないかということだった。
結論から言えば、それは紀元前11世紀に武王が建国したという周王朝に始まる春秋時代以前のようだった。
長江流域に居た三苗が従わず反乱したので舜が討ったとは史記にあるらしい。
残念ながらその頃の文献史料はそれ以外にほとんどないが、しかし、臥薪嘗胆で有名な呉・越の興亡は紀元前600年から473年頃のことで、福岡市雀居(ささい)遺跡出土の弥生土器の煤を放射性炭素年代測定した国立歴史民俗博物館は紀元前10世紀との意見である。
紀元前11世紀以前に舜などによって討たれた三苗、そして紀元前473年に亡んだ姫(き)姓呉のボートピープルこそ文化の上では倭の文化(弥生文化)の基層を形成したのではないだろうか。
ズバリではないが『春秋戦国』を読みながら日本文化の基層に夢は跳んでいった。
稲持つ祖何ゆえ文字を忘れたや
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