2023年4月28日金曜日

読書百遍

   『読書百遍意自ずから通ず』は半分ぐらいは当たっている。 
 4月3日に書いた本、中公選書・寺沢薫著『卑弥呼とヤマト王権』は、4月3日の段階でも「なかなか読むのが進まなかった」と書いていたが、内容に感動もしたが直ぐには同意できないようなところもあり、些か消化不良のままであった。

 そのため、邪馬台国関係の本を軒並み引っ張り出して読み直したが、一番参考になったのは角川文化振興財団発行、古代史シンポジウム・発見・検証・日本の古代編集委員会編、第一巻『纏向発見と邪馬台国の全貌』だった。
 そうして、『卑弥呼とヤマト王権』をもう一度読み直しつつあるのだが、少なくとも今回は著者の主張が比較的すんなりと理解できている自分がいる。
 で『読書百遍意自ずから通ず』という金言がまんざらでもないと首を縦に振っている。

 この本では、国家とは何か、古墳と古墳時代とは何かが入口で大問題になっていて、九州や吉備、出雲、大和などの「クニの連合」同士が卑弥呼を共立してヤマト王権が成立したことを多くの考古学的資料を分析して述べている。
 約めていえば、征服戦争によらずヤマト王権は成立した。

 確かに、国家成立以前の弥生時代の遺物などを見ると、「これは昭和30年ごろまで祖父母が使っていたものです」と言われても判らない青銅器なども多い。弥生の集落跡の巨大な柱穴とその上に想像される建築物も安直な想像力を超えている。
 そういう弥生の再評価が私自身必要な感じがする。

 そういうクニ連合、さらに連合どうしを繋ぐネットワークを理解すれば、中国大陸、韓半島の騒乱を見ていた倭が大同団結、卑弥呼の共立で同盟したという理解も進む気がする。
 興味のある方は一読をお勧めするが、けっこう分量も多いし資料も多いので覚悟は必要かも。

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