2023年4月23日日曜日

古代史と現代史

   私の生活圏が京都というよりも奈良文化圏であることは度々書いてきたが、そういうことから奈良の歴史、とりわけ奈良時代やそれ以前の古代史に自然に興味を持ち学ぶようになった。
 ところがロマンあふれる(はずの)古代史は、遺跡の破壊とそれに対する保存運動の歴史を抜きに語ることもできず、当然に成り行き上、近代史・現代史まで学ぶこととなった。

 また、いわゆる陵墓に指定されている古墳の被葬者と考古学的遺物の年代が矛盾する問題など、政治と学術的到達点の相違を賢明に理解・判断していかないと、ややもすれば古代史は、皇国史観、戦時体制に大いに寄与し、学問を素直に極めようとする者を「非国民」などといって暴力的に弾圧さえしてきたのもまた「歴史」だった。
 学術会議法改正法案の問題はここにある。

 現代、いわゆる従軍慰安婦など歴史的に存在しなかったかのような発言をする政治家がいる。
 「ある事実を直接知っている(見ていた)人々(世代)がこの世を去るとき歴史は大いに変更(修正)される」とは東大の史料編纂室編の本にある指摘であるが、そう思うと、日中戦争、太平洋戦争後78年、なぜ今学術会議法改正案なのかが見えてくるではないか。

 堂々公然たる事実なのになぜか蓋をされたかのような事実のほんの一端を書いてみると、古代史で避けて通れない平城宮跡の現代史になるのだが、1952年(昭和27年)朝鮮戦争下のそこに米軍のためのRRという施設が建造された。
 Rest and Recuperation Center とか言われるが、その施設の周辺が当時の言葉でいうパンパン宿、キャバレーとなり、売春婦が3000人を超えたという。
 それは勝手に生まれたのではなく、GHQの指示とはいえ、国や地方自治体も大いに参画し、女性たちには週1回の性病検査を行い、合格者には安全バッジを付けさせたとある。
 
 当然に周辺の街全体が荒み、学校の先生は早く登校して学校周辺のコンドームを片づけたりしたが、小学校ではパンパンごっこ遊びが流行ったと書かれている。

 学術会議法を見ていて、そんなことなどを考えた。写真は、平城京のいろんなことにも触れられている浜田博生氏の本。

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