2022年9月30日金曜日

山背の摩崖仏

   秋の鳴く虫の中では後発部隊に属するアオマツムシが先日から主役級の鳴き声を響かせている。リーリーリーと正直に言ってウルサイぐらいである。

 アオマツムシは明治以降に日本に侵入してきたらしいが、そういえばその声は、日本的情趣というよりも良い意味でも悪い意味でも大陸の雰囲気を持っている。

 先日から、敦煌は莫高窟の本を読んでいるが、彼の地の秋の夜にはこのような声が満ちているのだろうか。

 写真は近所の雨風に摩耗した摩崖仏の影である。というのは真っ赤なジョーク。どちらかと言えばブロッケンの妖怪。

 秋と言えば金木犀が香り始めた。嗅覚は論理を超えて感情を揺さぶる。あれほど疎んでいた高気温が収まりつつあるというのに、何かうら寂しい秋である。

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