2021年3月8日月曜日

ナショナリズムについて考える

   藤田直央著『ナショナリズムを陶冶する(ドイツから日本への問い)』朝日新聞出版を読んだ。ドイツの進んだ教訓について非常に参考になったが、日本の未来に関しては重い消化不良の感覚が残った。

 先日からアフガンなどユーラシアの民族や国の歴史などに触れて、日本列島が世界の辺境、歴史のある種の例外ではないかという感覚を抱いたことを吐露したが、今ではEUにまで発展したヨーロッパのドイツと日本では、同じ第二次世界大戦の敗戦国にしても歴史の総括がこんなにも違うものかということを痛感した。

 ヒットラーのナチズムを完全に乗り越えようとしてきたドイツと、神であった昭和天皇を存置したまま、A級戦犯の祭られている靖国に首相らが参拝などをする日本。

 そのドイツでも移民などを排斥する主張が一定支持され脅威となっている。日本の場合は、何もかもがホンネとタテマエで、例えば移民問題は「技能実習生」などと呼ばれて隠蔽されている。また、北朝鮮や中国政府の誤った政治と相まって、あるいはもっと別の歴史修正主義と合わさってヘイトが勢いづいている。

 この本でも触れられているが、ナチスに組しなかったドイツ人の中にも「私は知らなかった」という主張があったようだ。日本の場合は、圧倒的な日本人が同様の主張をして戦後の総括が終わったように思われる。そのツケが必ず廻ってくることだろう。

 とりとめなく感想を述べたが、ドイツの経験に学ぶべきことは多い。平和憲法を護ろうとする人には、一読をお勧めする。読書感想文のようなものは追々書けたら書いていきたい。

1 件のコメント:

  1.  読売新聞の世論調査だと菅内閣の支持率は48%らしい。読売新聞というところを斟酌しても「この国はどうなっているのだ」と言いたいほどの「常識の崩壊」が進んでいる。ドイツを鏡にしてこの国の弱さをじっくり考えるのも悪くはない。

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