2023年7月27日木曜日

三尺寝

    せみの声きえて炎帝の三尺寝 
   三尺寝とは、日脚が三尺(約90センチ)動くだけのわずかな昼寝。
 ものの本には、職人などが仕事場の三尺ほどのスペースでとるわずかな昼寝とあるが、1尺=30.303センチ、よって約90センチでは昼寝はしんどくないか。
 
 関西の主要なセミであるクマゼミは昼食頃にはピタッと鳴き止むが、その静けさとは反対にその頃が猛暑・炎帝のピークとなる。その昼食後の三尺寝が近頃では私の日課となっている。

 蝉の声で思い出すのは、昔田舎に泊まった時、朝早くからヒグラシが鳴くのに驚いたが、私がヒグラシ=夏の終わり=秋が近い=その夕暮れ=少し涼しいと連想したのに対して、その田舎の親父さんは「朝からヒグラシの声を聞くと”今日も暑くなるなあ”とうんざりする」と言うので、そのギャップにさらに驚いたことを思い出す。

   わが街では朝一番のクマゼミに代わってアブラゼミ(写真)が鳴くようになっている。
 アブラゼミの名前の由来は「ジリジリジリと油で揚げたときの音」というのを聞いて「ナルホド確かに」と感心したが、よく考えると、アブラゼミと命名された当時、フライパンも天ぷら鍋もなかっただろうから、どういうシチュエーションで命名者は連想をたくましくしたのだろう。

 一番上の写真は正倉院御物の撥鏤尺(ばちるのしゃく)、天平時代の1尺の物差しのレプリカ。30センチ定規と並べてみた。ほぼ一致する。

 記録のために書いておくが、26日の未明~早朝、わが街でヒグラシとツクツクホウシを初めて聞いた。先の親父さんではないが夏はこれからが本番、秋風はまだ遠いのに。

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