2022年2月19日土曜日

捨てない生き方

   五木寛之著『捨てない生き方』マガジンハウス新書(001つまり創刊第1号)2022年1月27日第1刷を購入した。
 「断捨離」とか「不要不急」という言葉が「理性的な生き方」の代名詞のように扱われている現代、「それでいいの?」と問うような、ちょっと刺激的なタイトルだった。

 著者は、けっして「捨てる」ということに反対しているわけではないし、「捨てるな」というメッセージを発信するつもりもないとしつつ、「スッキリさせないといけないという強迫観念に捉われない」という生き方を考えてもいいのではないかと述べている。

 人生の後半期は登山でいえば下山の段階で、歩んできた道を振り返り見つめ返りつつ歩くようなものだろう。そのときに、時代や自分の生きてきた証の記憶を呼び出してくれるのがモノ、もっと言えばガラクタではないか・・とも述べてもいる。
 人は裸で生まれてきてゴミに囲まれて死んでいく・・そんなものでないかとも。

 近頃は徹子の部屋に大ベテランがよく登場し、断捨離をした話も度々登場する。多くの場合その話は庶民のいう断捨離というよりもハイレベルなものだが、ほんとうの意味でスッキリ、ガランとした空間に身を置いておいてはたして幸福なのだろうか。僻みでなくそう思うこともある。

 先日は「一過性全健忘」(天使のプレゼント)の中で「記憶が弱るのも悪くはない」と書いたが、それでもそんな際、誰かが思い出のモノを持ってきてくれたりして「そうそうあの時は・・」と古い記憶を引っ張り出してくれたならうれしいなあ。

2 件のコメント:

  1.  ナント、もちろん偶然だが20日付け赤旗日曜版に五木寛之氏が登場しこの本のことを語っているではないか。タイミングが合いすぎて驚いた。

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  2.  スノウさん、メールありがとうございました。五木寛之はそんなに読んでるわけではありませんが『親鸞』は読みごたえがありました。『五木寛之こころの新書』シリーズは、例えば「宗教都市大阪、前衛都市京都」など切り口が面白いと思いました。それ以上に今回の本は面白かったです。

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