「掛け軸という東洋の知恵を見直したい」と10月1日に書いた。その折東洋の知恵と言ったが、目出度い言葉などで福を願うのは中国伝来かも知れないが、部屋の中に季節を呼び込むのは利休あたりからの日本人の感性のような気がする。
で10月1日の記事には”食欲の秋”的な掛け軸の写真を添付したのだが、情けないことに浅学故、「書」の一部(後ろから2行目)の文字を読むことができなかった。いろんな辞書を引っ張り出したり、「沙州」から連想してシルクロード、敦煌、莫高窟などの本を引っ張り出したりしたが、確たる正解は解らなかった。
そもそも、この書画は東大寺の有名な別当であった故清水公照師の書画である。そこで、師の故郷にあり、師の多くの作品を所蔵されている『姫路市書写の里・美術工芸館』に問い合わせて教えてもらうことにしたところ、快く対応していただいた。さすが学芸員の方だと想像した。
回答は、『豚 山羊 沙州のニラを添えて食う 西域の営み ■塵の朝 公照』で、■は不明ということで、附記として、『清水公照は「中国・西域の旅」と題して昭和63年5月に(敦煌、西安、北京)などの中国旅行をしています。沙州とは現在の敦煌(とんこう)周辺地域のことで、砂漠で有名ですが砂ぼこりなどが街に舞うそうです。この時の様子を描いたものと思いますので、「芥塵」「埃塵」かも知れません。』とあった。そしてこれはほゞ私の推測と外れていなかった。
ただこの文字が朝食に係るとすれば「羹」(あつもの)(羊羹の羹)もアリかと考えたのだが、その場合、次に付く「塵」以外の相応しい文字が見つからなかった。
結局私は、文字の形から「芥塵」も捨てがたいが、より西域のイメージが漂う「黄塵」と読みたいと思うようになった。書や文字に詳しい方々のご教示を乞う。
『 豚 山羊 沙州のニラを添えて食う 西域の営み 黄塵の朝 公照 』で如何。
「羹(あつもの)の廛(みせ)」というのも考えたが、微妙に違うような気もする。
返信削除莫 茅 莽 なども考えられます。
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