2021年10月23日土曜日

小選挙区制の誤り

 ある地域、例えば奈良県北部なら奈良県北部の住民の、多岐にわたる課題の総意が比較多数の一人(実際は一政党)の意見どおりであるとするのはどこから考えても正しくない。

   それを「二大政党制を目指す」とか言って無理やりに小選挙区制を導入してから日本の政治は明らかに劣化した。

 もう少し現実の話をすると、その昔は自民党の中にも政策や意見の異なる派閥が同一中選挙区内で争ったものだが、小選挙区制になってからは自民党中央本部が原則一人しか公認しないから自民党内の多様性がなくなり、議員自身が(公認権をもつ)本部を牛耳る主要派閥の主張に迎合・忖度していて、立場は別にしても堂々とした見識を持つ政治家が与党にいなくなった。

 この制度矛盾は、立民、共産、社民、新選組の野党共闘が政権交代を実現しても基本的に残る。

 国民の総意がそのとおり議会に反映されるのは完全比例代表制だが、せめてかつてのような1選挙区の定数が5人以上程度の中選挙区制の方が民主主義に近い。

 小選挙区制の肯定意見の中には、人口の少ない地方の意見が尊重されるという主張があるが、世の中には都会対地方という区分以外に男性対女性、青年対壮年乃至は高齢者、事業者対勤労者等々等々多くの差異がある。それを選挙区という制度で解決させようとすれば無数に細分化した選挙制度が望ましいことになる。それらは選挙区ではなく、議会とそれを選ぶ選挙民の知恵や理性で解決すべきものだろう。

 小選挙区制のもう一つ大きな弊害は、どうしても選挙権の持つ「重み」に大きな格差を生むことだ。中選挙区など選挙区を大きくするほどこの矛盾は小さくなる。つまり、憲法が定める極めて重要な権利である参政権について、ある選挙区の1人分の権利に対して、ある選挙区の住民は0.5人分以下の権利しか持てないという大問題である。

   さて、2019年参議院選挙では宮城県や新潟県の県民の1票の価値は福井県民の0.34票しかなかった。その不当性を訴えた訴訟に最高裁は2020年合憲との不当判決を行った。その判決に加わった最高裁裁判官6名が今度の総選挙と一緒に国民審査の投票の投票の対象になっている。6名中不当判決(多数意見)に組した裁判官は深山、林、岡村、草野の4裁判官である。

 「国民は知っているぞ」と意思表示をして民主主義を育てるためにも、少なくともこの4裁判官には✖をつけて投票したいと私は思っている。✖の投票以外は「信任」となるので読者の皆さんも検討してみてほしい。

2 件のコメント:

  1. 国民審査の判断材料をFB等で探していたのですが、なかなかみつかりません。参考になりますが、投票の仕方を考えてほしいですね。従来は、私は全員❌にしていますが....

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  2.  ほんとうに、もっと検討材料が豊富に提供されたら良いのにと思います。この材料は参政権の考え方に特化されていますが、少なくともネグレクトする内閣に忖度した4人の裁判官と、それに反対した2人の裁判官、それに当時の判決に加わっていなかった5人の裁判官に分かれています。国民審査の結果、4人の裁判官の✖票が顕著に大きくなれば、国民は見ているぞ!という有力な意思表示になると考えます。

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