2021年10月10日日曜日

紫でないツルムラサキ

   毎年、前年のこぼれ種からツルムラサキが生えて、夏野菜の一つとして重宝していたのだが、今年は何となく新しい苗を植えてみた。

 その苗がぐんぐん成長して太くて元気なツルが10mにもなった(最初の写真にラインを引いてみた)。

   元気な葉っぱを美味しく戴いているから別に文句はないのだが、このツルムラサキ、ツルも葉もどこにも紫色がなく、まあこれなら「ツルマミドリ」といったところだ。

 その上に例年なら花が咲いて実(種)がついてもよさそうな季節だが、一向にその兆候がない。実(じつ)はその花穂というか実というかそれも口の中でプチプチと毎年食べて楽しんでいたものだ。

   品種改良(ある種のハイブリッド?)の結果なのか、それとも近頃流行りの種苗メーカーの作為(F1品種)なのか知らないが、その不自然さに少々首をひねっている。
 F1品種とは、モンサントなど世界の巨大種苗メーカーが始めたもので、自家採種できない一代品種をあえて作って、毎年種苗を絶対に購入しなければならないようにしたものだ。ついに、こんなちっぽけな家庭菜園まで巨大企業の手が伸びてきたか???
 日本政府は、種子法を改悪して、ある種の植物について自家採種を罰することとした。どうなっているのだこの国は。
 朝日新聞は「開発者の権利守るため」と袖見出しを立てているが、それほど単純ではない。

 歴史の話をそのまま現代の社会問題に重ねるのは慎まなければならないが、もともと農民はみんなが研究者で開発者であった。そして、お伊勢参りや奈良の大仏様参りの際に種や苗を持ち寄り、新しい種や苗を購入した。四天王寺参道の赤松苗店はその名残りだ。実のないツルムラサキを眺めながら気分は複雑だ。

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