2021年1月30日土曜日

今ごろ研修医問題

   127日の朝日新聞によると、東京の中央労働基準監督署が、日本医科大学付属病院が大学院生の医師らに外来診療をさせていたのに給与を払っていなかったとして是正勧告をしたと報じている。「何を今ごろ?」というのが私の感想だ。

 私が現職時代の1998年に関西医大研修医過労死事件があった。当時の関西医大は「研修は労働でない」と主張したが、北大阪労働基準監督署は実体から見て研修医を労働者と認め、・労使協定の届け出なく時間外労働をさせた、・割増賃金や最低賃金を払っていない、などとして関西医大病院に研修医の労働環境の是正勧告を出した。さらにその事案を過労死として労災認定した。

 大学側はそれでも「研修医は労働者ではない」と種々反論したが、200563日最高裁第2小法廷での上告審判決は、「研修医は病院のために患者への医療行為に従事することが避けられず、労働者に当たる」として、最低賃金との差額を支払うよう命じた大阪高裁判決を支持、同病院側の上告を裁判官全員一致で棄却し遺族側勝訴が確定した。その後、厚労省も文科相もそういう見解に立って指導してきたはずである。

 そこで私の感想だが、判例は極めて重要だが判例だけでは世の中は変わらない。判例の精神を現場に定着させる労働運動が不可欠だ!という感想を持った。

 「研修させてやっているだけで雇用でない」という主張によく似た主張は安倍・菅内閣でよく聞く主張である。「検事は公務員である(だから定年延長できる)」とか「学術会議には税金が投入されている」の類である。ものの本質をはぐらかす政権の発言を許さず、理性的に議論を戦わすことができる国にしたいものである。

 重ねて言うが、判例や法律を、もっと言えば憲法を職場に活かすには民主的な労働組合、労働運動が不可欠である。

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