2021年1月28日木曜日

告発の業務量

   国会で新型コロナ特措法・感染症法等改定案が議論されている。閣議決定された改定案では、業者や患者や病院を罰金や刑事罰等で罰するとしている。魔女狩りや西部劇を想像させる。さすがに27日の新聞報道では『入院拒否に懲役 削除へ調整』になっているが・・・、

 私はこんな主張や提案をする知事や国会議員のレベルの低下に寒気を感じている。現場・現実を見ようとせず、マスコミ受けのよい勇ましい発言を繰り返す。それは、太平洋戦争に突入した扇動政治の再現ではないだろうか。

 例えば保健所は「署」ではなく「所」であるから、司法警察権も持たない地方自治体の行政機関である。元々地味ではあるが公衆衛生等の上で重要な機関である。にもかかわらず自公政権や維新の自治体は「官から民へ」「小さな行政」「身を切る削減」等を喧伝し、削減につぐ削減、縮小につぐ縮小を行ってきた。私の想像では、少ない人員で日々発生する受け身の仕事を遅滞させないことに精一杯だったと思う。その上にこのコロナ禍である。

 自宅療養者とのコンタクトが薄いとか入院の手配が遅いとか、テレビではコメンテーターなる方々が「解説」されているが、体制と過重労働をテコ入れしないままでは限界がある。無責任なコメントは凶器ですらある。そこへ今回の「罰則問題」である。

 私も現職時代はよく似た受け身の行政サービスの業務に従事した。業務は次から次へと受理される、受け身でそれをできる限り待たせることなく処理をする。そしてまれに、不正な事案が発生すると、証拠になる調査を重ね警察なり検察に告発する。そういう特別の業務に対応できる体制も人員もストックはされていないから純粋に上積みの業務になる。さらにさらに警察や検察の調書作成その他の業務が付いてくる。

 私が現職の保健所の職員なら、ええかげんにしろ!と叫ぶだろう。そしてその矛盾は廻りまわってコロナの患者や家族や病院に廻ってくる。

 報道されているところによると、日本公衆衛生看護学会や全国保健師教育機関協議会や全国保健所所長会なども刑事罰には反対しているようだ。

 どうか、政治の責任者を免除するような分断と憎悪の自粛警察社会には賛成しないでほしい。しかし、自民党や公明党の幹部が夜遅くまで銀座を渡り歩いていたのはどうもねえ。言うこととやってることが違うのは維新と変わらない。

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